249.野中到 ★夫婦の愛★ | かたくりのつれづれのままに

249.野中到 ★夫婦の愛★

今、新田次郎の小説『芙蓉の人』を読んでいます。

きっかけはpocoさんの2011 BOOK ベスト3

野中夫妻のことはいろいろな形で紹介されて知っていました。

読後の感想は後日記事にしますがかつて記事にした野中夫妻のエピソードをつなぎに紹介します。

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1989年10月8日~2002年3月24日の日本テレビ日曜9時に放映されていた『知ってるつもり?!』で忘れられない話があります。

出演者が番組の進行とともに夫婦の深い絆に感動し、最後は涙しました。


1895年 (明治28年)富士山頂通年観測のため私財を投じて日本最初の富士気象観測所を建設。

10月1日 千代子夫人とともに気象観測をした。

1日12回、気圧・風力・気温の測定をしていたが、気圧は想定外の低さで測定断念。

風力計の電器盤を動かす電池が寒さで凍結破損しこれもやがてできなくなった。


富士山頂と下界との通信手段はない。

夫婦の生存を知らせるため、晴天の日には鏡を反射させて下界にしらせていた。


山頂は、気圧が低いため低音で沸騰し、炊飯がうまく行かない。

高山病にかかり、幻覚が夫婦を襲う。


夫の野中が病に倒れた。

妻の千代子は野中に代わって観測に従事した。

1日12回の気温観測、夫が倒れた以上千代子は休むわけにはいかない。

日中の最高気温が零下12℃、明け方には零下18℃以下になる。


野中の観測活動の復帰を待つようにして入れ替わりに妻千代子が倒れる。

扁桃腺が腫れて、声がでず呼吸も困難になった。


医療器具もなく薬もない状態である。

手をこまねいているには忍びなかった。


野中は迷っていた。


方法は一つだけ考えられたがあまりにも危険なため躊躇していた。


千代子は夫の力になるため周囲の反対を押し切り男装し、夫と共に山頂に来ている。

夫の足手まといになるつもりはなかった。

全てを夫にゆだねた。

迷った末、やけ火箸で妻の喉奥の扁桃腺を焼き切ることにした。


天は夫妻に微笑んだ。
荒療治だったが千代子は呼吸が楽になった。
12月22日 :越年観測を断念し下山。

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夫妻の苦労に番組参加者が一喜一憂しながら番組が進行し

扁桃腺をやけ火箸で焼ききるところで安堵のため息がもれた。


番組の終了間際に、富士山頂で野中が妻のためにこしらえたもの

が出されたとたんに出演者が皆目頭を押さえた。


それは・・・・・


ぼろきれを何枚も重ねてつくったグローブのような手袋だった。


不器用だが実にストレートな妻への気遣いだった

妻への感謝と愛情を感じた。   2008-06-13 20:33:06


お互いが信頼し必要としていた。すばらしい夫婦愛だった。