ルブラン・フランスのクラリネット | clcl55のブログ

clcl55のブログ

クラリネットのことなど

現在はなくなってしまった、かつての有名なクラリネットメーカーの1つが、ルブラン(Leblanc France)です。

特殊管が日本では有名で、コントラバスクラリネットや、バセットクラリネットなどでは見かけられることも多かったかと思います。

私は、レオン・ルブラン時代の楽器、90年代のトム・ライドナー氏設計の時代の楽器、2000年代のラリー・コムスのオーパスⅡを吹いたことがありますが、皆良く鳴る楽器です。

2003年の火災で1400本以上が失われ、180万ドルもの損害が出ました。
その後立て直したものの、2005年にはアメリカ・コーンセルマー社の傘下となったところを見ると、やはりダメージは大きかったのでしょうか。

あまり情報のないメーカーですので、わかる範囲で年代ごとに機種を並べてみます。(青字は日本でもカタログ等で見たことのある機種)

◆2000年代

1191S, 1191AS : Opus 2 (高級機種 オーパスⅡ、Larry Combs氏監修、使用楽器)
2002S, 2002AS : Concerto 2 (高級機種 コンチェルトⅡ、Eddie Daniels氏監修、使用楽器)
1040S, 1040AS : Esprit(エスプリ)
1020S : Sonata(ソナタ)

1012S : Rhapsodie(ラプソディー)
(1606S : Pete Fountainモデルも?)

◆90年代~2000年代初頭 (Tom Ridenour 氏が設計の責任者となり、オーパス、コンチェルトなどの名器を設計)



2007S, 2007AS : Symphony VII (ローズウッド製。リカルド・モラレス氏使用、レゾネーター付パッド)
1190S, 1190AS : Opus (オーパス。ロゴなどの見た目が3回変更されている。特注品か、ローズウッドモデルもあった模様。ラリー・コムス氏使用、レゾネーター付パッド)
1193S, 1193AS : Ambiance
1189S, 1189AS : Concerto (エディー・ダニエルズ氏使用の名器。)

1189SL, 1189ASL : Concerto (famous Leblanc mechanism model) 一直線上のサイドキー、独立したA♭/E♭キーポストなど
1188S, 1188AS : Infinité (輸入のグローバル社カタログでは、ベルベットリー・ダークサウンドと紹介)
2000S, 2000AS : LX2000S
1040S, 1040AS : Esprit (1040, 1040A ニッケルメッキ)
1020S : Sonata (1020 : Sonata ニッケルメッキ)
1176S, 1176AS : LL (ジミー・ハミルトン等が使用していた)

1606S : Pete Fountain
1611 : Pete Fountain (金メッキ、C#/G#キー、Eb/Bbキーに特徴がある)
1610 : 1611のニッケルメッキ版
1010 : Spirit (ベルとバレルがReso-tone製)

Noblet 50S, 45, 45A, 40, 40A
Normandy 4

◆80年代

1185S : LX (当時の高級モデル。)
L300 : 現在のトスカやイデアルのような、ベルリングのないベルが特徴。(ニューヨーク・フィルのStanley Drucker氏のポスターが有名。)
L70
                         ↓Leblanc L300 Bell

  

1176S : LL (Jimmy Hamilton等が使用していた)

◆70年
L200 (R13のような楽器を、と作られた楽器。当時は世界中のメーカーが、多かれ少なかれそのような考えを持っていたのではないでしょうか。)
L7
L70
 
L27
LL (1176)
Dynamic H


ノブレの45Mは、ヤマハのYCL-450やクランポンのE11などと同クラス、
ルブランのソナタは、ヤマハの650、クランポンのE12F~E13あたりと同クラス、
ルブランのエスプリは、クランポンのE13やConservatoireと同クラスと考えて良いと思います。
特に、ノブレの40M、45Mとルブランのエスプリは手頃な価格ながらA管もあったため、良い存在の機種だったと思います。

また、レオン・ルブラン時代の楽器は、レジスターキーの形状やチューブも独特で、トーンホールの位置やキーポスト、サイドキーなど、様々な工夫が見られます。
全音域の音程の良さと抜けの良さにもつながっているのでしょうか。