11月4日木馬亭にて第8回京山幸枝若独演会、無事公演終了しました。
満員御礼の盛況でご来場のお客様に改めて御礼申し上げます。
見事な秋晴れ、暑からず寒からずの良いお天気にも恵まれました。
前読みはお馴染み京山幸太。もう入門7年だそうで、早いものです。
師弟連続読みで『祐天吉松』。幸太は「喧嘩坊主」を担当。強烈な啖呵が炸裂。
表情豊か、これが表現の豊かさにも直結しております。頼もしい。
見事なもんです。これでネタ卸なんですから素晴らしい。
婆さんも良い。相撲取りも良い、吉松も良い、三河屋も立派。
もう風格すら漂っています。動きも派手に華麗に決まって益々巧くなっています。
続いて待ってました!の幸枝若登場。祐天吉松「飛鳥山の出会い」
幸枝若も「光太師匠の”喧嘩坊主”を楽しんでいただいて」などと言い出すほど。
この「飛鳥山」は『祐天吉松』の中でも親子対面の世話場で泣かせる良い場面です。
曲師は3席ぶっ通しで一風亭初月師匠。腕が冴え渡ります。
幸枝若は子供の演出も良い!可愛いし、子供ながらの苦労人ぶりが出ています。こころにぐっと迫りますが、この
「押し引き」が疲れるんですわ!と幸枝若先生。
そして怒濤のバラシ(講談で言えば切れ場)。これが長い長い!
聴いている方は酔いっぱなしですが、これがしんどい、しんどい!
40分を超える長講となりました。充実の一席。
さて仲入りを挟んでの後席は、幸枝若十八番の三席の中からお客様の投票で
当日演目が決まる仕組み。開票風景。今回は三席が割れました。
幸枝若の末っ子弟子の京山幸乃が集計して回り、発表しました。
下は集計風景。
最多得票は、『吉良の仁吉』!「今日は二席とも侠客ものやあ、疲れるなあ」
と幸枝若先生。
なんの、なんの、響き渡る幸枝若節。神戸の長吉の優柔不断。
仁吉の重苦しい決断と覚悟。これぞ幸枝若節の真骨頂。
カッコいい。無理やり離縁されるお菊さんが、切なくて良い!
幸枝若先生は女も素晴らしい(なんでも素晴らしいんですが)!
無事お開き。ご来場に改めて御礼申し上げます。
東京駅までご一座をお送りしましたが、「明日も二席なんですわ……」と幸枝若先生。
5日は、桂文我師匠との二人会が大阪の国立文楽劇場で。
道中お気をつけて、文我師匠によろしくお伝えください(来月の演芸大忠臣蔵にご出演)。
なお、次回の幸枝若独演会は
2020年4月5日(日曜日)木馬亭 17:30開演
『会津の小鉄』より小鉄初旅+お楽しみ一席
2020年11月1日(日曜日)木馬亭 17:30開演
『大石と垣見』(フルヴァージョン)、「義士もの一席」(幸太)+お楽しみ一席
と予定しております。
京山幸枝家には「義士もの」が少なく、先代幸枝若も当代も「大石と垣見」しか
やらない(「人間吉良上野介」はレコード用の演目で実演ではやらなかったそうです。)ので幸太は必然的にどこからか
仕入れてくる必要があります。これも楽しみ。
それまでに覚えます!とホントに頼もしいし嬉しいですね。
今後もご来場をよろしくお願いいたします。