南青山長谷寺の画像

これまでの参詣は、1000回目を迎えるにあたって、自分にとって度々所縁のあった港区内で、公開せず残っていた5つの神社を巡ってきました。高輪三田表参道南青山に続いて、最後は西麻布長谷寺の麻布稲荷へ。

 

 

 

 

ここは住所表記でいうと西麻布なのですが、エリア的には南青山で、骨董通りの果てにある高樹町交差点のそばです。

表参道から1km以上離れ、西麻布から見ると急こう配の坂上にあって、さらに六本木通りに分断されて広尾・恵比寿方面へのアクセスが悪いので、不便なんだけどそれがかえって静かな住宅街を醸成しているエリア。

 

 

 

 

普陀山長谷寺の画像

普陀山長谷寺 ふださんちょうこくじ

曹洞宗大本山永平寺の東京別院です。慶長三年(1598)、家康と親交のあった泉岳寺の開山・門庵宗関(もんあんそうかん)が当山の開山となって創建しました。

寺号の読みは「はせでら」ではなく「ちょうこくじ」。

 

 

 

 

手水舎

大きな手水鉢に龍の吐水。

前面に『具一切功徳 慈眼視衆生 福聚海無量 是故應頂禮』の観音経の一文が刻まれていて、観世音菩薩の福徳が広大無量であることを海に例えた語です。

ちなみに永平寺第七十六世貫主は慈眼福海禅師の号を勅賜されますが、この語が由来みたいです。曹洞宗に所縁がある語なのでしょうか。

 

 

 

 

麻布稲荷

境内の左側、「微通亭(びづうてい)」と書かれた休憩所のような建物の中にお稲荷さんが祀られています。

御由緒は見当たりませんでした。

 

 

 

 

梁の上に祀られています。

白狐の神使像で、右が阿形で口元から上下に突き出た金の牙が見えます。左は吽形で

尻尾の先が宝珠になっています。右の方が目つきが鋭くまた微笑んでいるようにも見え、左は穏やかそうなまん丸な瞳。

木製の白狐というのが狐の霊威をなんとも漂わせています。

 

 

 

 

青山長谷寺の画像

法堂 はっとう

いわゆる本堂にあたる建物で、ご本尊の釈迦牟尼仏と文殊菩薩・普賢菩薩が安置され、曹洞宗の修行道場でもあって、現在も多くの方が修行されているようです。

また墓地には坂本九、阿久悠、エノケン、沖雅也、朝潮太郎といった有名人のお墓もあるそうです。

 

 

 

 

風神雷神像

狛犬や燈籠ではなく、当山の本堂前にはめずらしく風神雷神像が安置されています。

そもそも尾形光琳の屏風、三十三間堂、浅草雷門ぐらいでしか見たことが無い激レア感。

 

 

 

 

扁額

掲げられた額には「永平別院 勅賜大光圓心禅師 永平泰禅九十六翁」とあります。

永平寺の第七十三世貫主で大光円心禅師の号を昭和天皇から勅賜されています。九十六翁の部分が読みづらいので正しく読めたかわかりませんが、96歳(数え年)で亡くなられているのでたぶん合ってるかな。

 

 

 

 

扉が開いているときは、外から覗くことが出来ます。

 

 

 

 

観音堂

ここに二丈六尺、おおよそ7.8メートルの大観音が安置されています。

お堂は、訪れた17時20分時点ではまだ扉が開いていました。特に許可を取らず誰でも拝観できます。

 

 

 

 

お堂の前の石畳の中に、一枚だけ大きい石があります。そこから見上げると、

 

 

 

 

丸窓から観音様のお顔が見えます。

窓がピカピカなんだけど、どうやって拭いているんだろう。

 

 

 

 

麻布大観音の画像

麻布大観音

総高約10メートルの十一面観世音菩薩立像は圧巻の美しさ。

正徳六年(1716)作の二丈六尺(7.8m)に及ぶ大観音が空襲で消失し、昭和52年(1977)に再作成されたものです。

長浜市の石道寺にある千手十一面観音を参考に、福岡県の樹齢600年以上の楠を用いいて作られたこの像、顔は香淳皇后がモデルといわれています。

 

 

 

 

東京の大きい仏像で言うと、赤塚の東京大仏(総高13m)、駒込大観音(6mの十一面観音菩薩立像)、九品仏のご本尊(4.8mの釈迦如来坐像)、池袋大仏(4.6m)、駒込吉祥寺大仏(4.17m)、花川戸九品寺大仏(3.87m)、谷中天王寺大仏(2.96m)、護国寺大仏(2.5m)などがあり、赤塚のは半分が台座なので、麻布大観音がトップクラスの大きさ。

 

 

 

 

香淳皇后の画像

香淳皇后に似てるといえば似てるんだけど、あの人は元がザ・日本人形みたいな顔だから基本仏像ならどれでも似てくる。

大観音といえば鎌倉の方の長谷寺にもあって、すごい圧巻だったのを覚えているけど、麻布大観音もそれに似てます。こっちの方が荘厳華麗という言葉がしっくりくるかな。

 

 

 

ちなみに総高10メートルというと、ちょうど浅草寺の本堂内にすっぽり入る大きさ。

圧巻する感覚が似てるかも。観音様の慈悲や功徳を伝えるのに、大きさというのが重要になってくるのがわかります。

 

 

 

写真は、2017.10.14(本堂・風雷神・手水・稲荷)、2022.8.14(境内・大観音・外観)、2022.9.10(ヨックモックミュージアム・メゾンドミュゼ) 撮影

 

備考

社号 麻布稲荷

創建

祭神

祭日

末社

社務所

所在地 東京都港区西麻布2-21−34

その他 永平寺別院長谷寺境内

 

 

周辺散歩

岡本太郎記念館の画像

岡本太郎記念館 南青山6-1-19

長谷寺から西へ300メートルほど、骨董通りからは1本入ったところにあります。昭和の芸術家・岡本太郎の住まい兼アトリエだった所を改装して記念館として公開されています。青山・広尾・六本木界隈は意外と美術館が多いのですが、ここはとりわけ自分が好きなところ。

 

 

 

岡本太郎記念館の画像

アトリエの建物をそのまま利用しているので、美術館としてはとても小さく、来客はひっきりなしに来るので落ち着いて鑑賞するのはちょっと難しいかも。まずは人の流れに乗って2階へ。

 

 

 

2階に上がって目に飛び込んでくるのは、一番有名な作品「太陽の塔」。

140cmだとして実物のだいたい1/50スケールぐらいかな。ギャラリーに背を向けているのは、吹き抜けのガラス越しに外(来館者)を見ているから。昔はギャラリーの方を向いてました。

 

 

 

太郎の情熱を反映しているかのような真っ赤なギャラリーがすごくおしゃれ。

 

 

 

ヤノベケンジ サンチャイルドの画像

2012年の2月、庭先から覗くかわいい顔をしたでかい人形が気になって行って当館の事を知りました。大震災から間もない10月から始まった『太陽の子・太郎の子』という、岡本太郎生誕100年と現代美術家のヤノベケンジのコラボ展。

当時は放射線防護服を着ているというだけでめちゃくちゃ批判されてました。

 

 

 

ア・ピース・オブ・ケイク

岡本太郎記念館入口の目の前にある喫茶店。お庭の作品を眺めながら小休憩が取れる贅沢な空間。

 

 

 

喫茶店利用だけでも入れるのですが、南青山界隈の美術館を巡った後の休憩にもぴったり。ここや根津美術館以外にも山種美術館・紅ミュージアム・秋山庄太郎写真芸術館というのがあって、最近は洋菓子のヨックモックが建てたヨックモックミュージアムというのも開館して骨董の街から美術のまちに変わりつつあります。

 

 

 

ヨックモックミュージアム 南青山6-15-1

2020年に開館したばかりで、同じ南青山にあるヨックモック本店ビルにも似たヨックモックらしいブルーを基調としたかわいい感じの建物。

展示物はすべて撮影禁止なので写真はありませんが、展示内容が変わっても基本ピカソのセラミック作品に特化しています。ピカソの造形作品を見ると、岡本太郎はピカソの影響を受けてるんだなというのがよくわかります。

 

 

 

ヴァローリス

ヨックモックミュージアム内にあるカフェで、メニューはスイーツとドリンクのみ。骨董通りと六本木通りの間のこのエリアは住宅街だし、ミュージアム自体まだそんなに知られていないみたいで、カフェの方も空いてて快適です。

 

 

 

メゾン・ド・ミュゼ 渋谷区渋谷4-2-9

ヨックモックからどうやって帰ろうかグーグルマップを見てたら偶然見つけたレストラン。以前ここは鍋島藩邸跡地に建った千葉常五郎邸を利用した『ミュージアム1999』というレストランでした。常五郎は都内屈指の金満家だそうで、麻布十番や等々力(世田谷区)にも住まいがあったんだとか。その妻が旧子爵鍋島家の長女だったそうです。

 

 

 

車寄せのアーチにはなぜかライオンの蛇口。

15年ぐらい前に来て、東京の土地勘も無いころだったので、南青山エリアにあったなんて覚えていませんでしたが、当時からずっと水が出っぱなしです。懐かしかったな。

 

 

 

東京都全神社マップの画像

さて、このブログをはじめたのは10年前の2012年。調べに調べて探し出した参拝可能なお社の数は凡そ2,200なのですが、参拝済みはたぶん1,500を数十超えたぐらい。その間に取り上げたお社はちょうど1,000で、書いた記事は1,132でした。

歩いて、探して、写真を撮って、喫茶店が好きで、美術館が好きで、有名なお店や名所も見てみたくて、書籍を買い集めて、歴史を調べて、記事を書いて、写真を編集して、、一人でやる趣味の量じゃなかったですね。

 

次の10年は何しようかな。