こんばんは!

 

同じ一条施主の中村さん?タッチさん?が面白い記事を書いていたので補足したいと思います。

 

 

ハウスメーカーの粗利率は高くて、地場工務店の粗利率が低いからハウスメーカーが暴利を取っていると世間では想像されているかもしれないという話ですね。

 

まず、ハウスメーカー(製造業)と工務店(建設業)では業態が違います。製造業と建設業ですから、決算において計上する利益区分がそもそも違うと思います。

 

私を含め製造業で働いたことがある人は決算書の中に製造原価明細書があることをしっていると思います。これを知らずに売上総利益(粗利)の比較をしても意味がありません。

 

つまり、工場でかかったコストは人件費だろうがすべて売上原価に計上されます。販売管理費は本社費という位置づけですから、工務店と損益計算書の構造自体が違います。

 

<製造業>

売上高

売上原価(工場のコスト管理=製造原価明細書

  材料費

  人件費

  経費

売上総利益

 販売管理費(本社や支店の経費)

営業利益

 経常損益

経常利益

 特別損益

税前利益

 法人税等

当期純利益

 

<製造業以外>

売上高

売上原価(材料費や外注費のみ)

売上総利益

 販売管理費(社員の人件費や経費)

営業利益

 経常損益

経常利益

 特別損益

税前利益

 法人税等

当期純利益

 

 

 

つまり、工場を持つハウスメーカーは本来、売上原価の割合が工務店より多いはずなのですが、そうではないということは、ハウスメーカーは販売価格が高いのです。

 

一方で工務店は粗利率は低いですが、販売管理費(人件費と経費)が少ないという状態です。これは広告などの経費をかけていないということと、人件費が少ないからです。

 

損益計算書の構造自体が違いますから、製造業と建設業を粗利(売上総利益)で比較することは無理があります。正直、当期純利益でみた方が良いと思います。

 

なぜ、当期純利益でみるかと言えば、特に粉飾決算をしている中小企業は当期純利益が100万円というような怪しい数字になっているからです。

 

利益が出ていないと銀行融資が受けられないので、若干の当期純利益しか継続して出ていない会社は粉飾決算をしていると思って間違いないと思います。

 

また、以前にブログに書きましたが、ハローワークの求人票で工務店の休日が労働基準法の最低である105日で掲載されているケースを紹介しました。

 

工務店で残業代をしっかり払っているところがどれだけあるのかと思います。何とか手当という形で固定額の残業代になっている工務店は多いと思います。

 

工務店が利益率が少ないからいい家が建つというのであれば、人件費を不当に削っているからだと私は思っています。

 

また、家族経営の場合は社長やその奥さんなどは株主でもありますから人件費ではなく配当金を出しているなら損益計算書には計上されず利益処分として貸借対照表の話になります。

 

 

 

さて、私は健全な工務店を見分ける方法は2つだと思っています。

 

・従業員や協力企業に残業代などの労働対価をしっかり支払っているか

・工事代金の入金を必要以上に急がせないか(キャッシュフローが大丈夫か)

 

私の二軒目の家を建てて頂いた工務店さんは代金は完成後に一括で構わないという方針であったため、キャッシュフローが健全であることが分かりました。

 

通常はハウスメーカーでも工事の進行状況に応じて3回に分けて施主は入金すると思いますが、予定以上に入金を急がせる住宅会社は経営が危ないと思って間違いないと思います。

 

つまり、当期純利益が極端に少なく、入金を急がせる地場工務店は危ないということです。

 

一方でスーパー工務店にしろ設計事務所にしろ、社員や協力企業や社員にしっかり人件費分を支払っている会社はそれなりの高価格帯になるはずです。

 

 

工務店は安くて良質な家を作るというのは間違いではないかもしれません。ただ、それは家族経営と社員の人件費手当を削り、人件費が抑えられるというだけのことかもしれません。

 

一方で規模の大きなハウスメーカーは大量仕入れによって材料費を下げるということができますから、例えば性能の低いアルミ樹脂複合サッシを使っているなんてボッタクリだと思います。

 

もちろん、これはハウスメーカーの社員が悪い訳ではなく、経営者の問題です。

 

 

 

全ての企業ではありませんが、凄い失礼な表現をすれば、ボッタクリ企業 対 ブラック企業 の利益率の比較に何の意味もないと思います。

 

決算書の数値は操作できますし、施主が確認すべきは従業員や外注さんにちゃんと対価を払っているか、キャッシュフローが回っているかだと思います。

 

ただ、ボッタクリはブランドの現れですから企業価値が高くないとできないとも言えますので、一概に悪いとは言えません。価値とは満足なので感じ方は人それぞれです。

 

大手ハウスメーカーの価格が高いとか広告費が多いなんてことはどうでも良い話ですが、消費者も家作りを勉強する人が増えていますから、そろそろ性能数値を開示しないとブランド価値が持たなくなっていくでしょう。

 

工務店もハウスメーカーも決算書と商品をみればおかしなことは沢山あるので、利益率の比較なんてほとんど意味がないと私も思います。
 

まとめると、社員と協力会社を大事にする工務店の価格は安くはないはず。そして、ハウスメーカーは大量仕入れを生かして良い建材を使っていなければおかしいということです。

 

そして予算の少ない施主はローコスト系の住宅会社をパートナーとして選んで、自分で相当に動き回らないとまともな家は建たない可能性があります。

 

こんな住宅市場は何かがおかしいと思いませんか? 

 

家作りにおいて、「何を選ぶかは価値観の問題だ」という錯覚を消費者はさせられていますが、建築基準法が最低限の法規であるため住宅市場に偏った商品が溢れてしまうからこんな話になるのです。