こんにちは(・∀・)

 

本日は自宅の南側の一階に掃き出し窓を設け、隣家が二階建ての場合、冬季に日射をしっかり得るにはどの程度、隣家の外壁との距離が必要かという話なんです。

 

結論からいうと12メートルですヽ(`Д´)ノ

 

簡単にいうと、自宅一階の南側に冬季に日射熱を得ようとして掃き出し窓を設けるなら、12メートル開いてないと意味がないですよという話です。

 

高気密高断熱住宅で大きな窓を設ければ冬季の昼間は日射熱でポカポカで、それを蓄熱して夜も暖かいなんて思う方が多いと思いますが、ほぼ無理な話をしていますよ。

 

高気密高断熱住宅が得意な有名な設計事務所などは田舎の物件を建築していることが多くて、冬季は日射熱を利用しようなんて発信するもんだから誤解を招いていると思います。

 

土地の前面が南側道路の土地を買ったとしても、南側に隣家がある場合は4.5メートルや6メートル道路などでは冬には一階まで日射が入らないのです。

 

南向きの土地を希望する方が多いですが、どれだけ前面が開けている必要があるかを知っている人はあまりいないように思います。

 

地域によって異なりますが、冬至の日射角度は東京なら31.6°です。夏至は80°程度ですから、夏はほぼ真上から降り注ぐ日射も冬は低い角度で入ってきます。

 

隣家の一番高いところと、自宅の窓のある高さが分かれば、EXCELの三角関数を使って冬至の日射角度以下になっているか(日射が得られるか)が簡単にわかります。

 

今回は計算条件として、隣家の高さを一般的な7.5メートルとしています。また床までの基礎高さは一条標準の56センチでの計算です。表の水色に塗ったセルが一階の窓の想定です。

 

 

まず、前面が12メートル開いている場合です。こんな家は都市部ではほぼないです。

一階の床と隣家の最高高さとの傾斜角度が30.3°なので、冬至の31.6°未満ですから、一階の床までしっかり日射が入っています。

 

 

次に前面が6メートル離れている場合です。4.5メートル道路がある場合、隣家と自宅の道路後退を含めると最低でこの程度の空間ができると思います。

一階の窓には日射はまったく入りません。二階の窓は陽当りが良い状態です。

 

 

そして、隣家と1メートルしか離れてない場合です。最低限の隣地後退をお互いにしたケースとなります。

二階の窓も全く日射が入りません。

 

 

つまり、一階の南側に掃き出し窓を設けた場合、冬季に一階の床までしっかり日射が入る家はほぼないため、大きな窓は熱損失を増やし暖房代を上昇させるだけです。

 

さらに窓の日射制御をしていない家の掃き出し窓は日射角度が上がる春から夏は日射が入ってオーバヒートするので、日射制御がアベコベな家作りになってしまっているのです。

 

必要な時に日射が入らず、必要のないときに日射が入ってしまうのが、現代の家作りです。

 

仮に冬季に日射が得られるとしても、自宅前に人通りが多い場合は日中はレースカーテンを閉めざる得ないため、日射が十分に得られません。

 

一階の窓から日射熱を冬季に利用することは土地が広い家や野原の一軒家のような環境でしか実現しないのに、多くの方が南道路の土地なら日射が得られると勘違いしているのです。

 

この事実を知っているのであれば、一階の窓の日射が冬季に取れないのであれば、一階は窓を小さくして、吹抜けから日射を取る方法などを考えるはずですが、、、

 

日本人は全部の窓を大きくしてしまうヽ(`Д´)ノ

 

しかし、現実は大きな窓を多数設置しても、冬に日射が取れず暖房代を増加させ、夏に日射が入り過ぎて冷房代を増やしている家がほとんどなのです。

 

これのどこがスマートハウスなのかと。。

 

皆さんが心に描く理想的な日本家屋は屋根の軒が深くて縁側があり、隣家と離れた田舎の風景ではないでしょうか?

 

土地が狭く、隣家との距離が取れず、挙句に軒や庇が全然出ていない現代のモダンな住宅を古き良き日本家屋のイメージで建築したら、アベコベになるのは当然です。

 

私なら冬季に日射が取れる窓と取れない窓を分けて考えて、それに応じた設計をしますね。日射が取れないなら、窓は採光用と割り切って小さく高い位置に設置します。

 

冬季に日射が取れる窓なら大きくしますが、それでも天気が悪い日のことも考えてコールドドラフト対策としてエアコンの温風が届くようにします。

 

住宅地では冬季は日射熱が取れないと思った方が当然で、だからこそ別の自然エネルギーである、エアコンや一条の床暖房などのヒートポンプ方式を活用する必要があるわけです。

 

本日は冬に日射でポカポカな家がどれだけ困難なことかお分かり頂けたと思います。年収3000万円のだんなが欲しいと真顔でいっているようなものですよ。

 

以上、日射がないならないなりにいい家を建てましょうの巻でした(・∀・)