昨日は、映画「パラサイト」を見に行った後
取材予定の飲食店の下見に行く予定だったけど
 
超急ぎの仕事が午前中に入ったのと
雪が降り始めたために
外出をやめて
文春の広告で見て気になって買った
 

「女たちのシベリア抑留」を読んでいた。

 

 

前半が、抑留経験者からの聞き取り。

 

でも、今でも当時のことを

語りたがらない女性が圧倒的に多かったので

後半は、さまざまな記録をもとにした

ルポタージュになっています。

 

聞き取ることができた人からの話は

やはり、そういう極限下でも

人間性を持ち続けた人の話が多い。

 

だから語れたんだろうと思いますし、

語れなかった女性たちには

別のストーリーがあったんだろう、とも。

 

そして従軍看護師たち全員が

ソ連兵士に暴行されそうになった時のための

青酸カリを渡されていたこと。

 

それを
「上の人は自分たちのことを
考えてくれているんだ」
と思っていたという
今から見ると
すごい認知のゆがみ…。
 
そして、
え!
と思ったのがここ
 
従軍看護師たちの多くは
女学校出たての若い女の子たちだったのですが
(女学校の授業で介看護関係の資格をとった程度の子も
かきあつめられた)
 

十代後半~二十代前半は

「体にまるみをつける」ための女性ホルモンが

マックス分泌される時期なので

 

兵隊と同じものを食べていてもやせなかった!

 

そりゃ、今の若い子が、ダイエットしてもやせないわけだわ…

 

そして、極限化にあっては

女性のほうが体力があったという事実・・・

 

前線で治療らしい治療も受けられないまま

死んでいく兵士が

「看護婦さん看護婦さん」

とずっと呼び続けながら亡くなっていった、

という話に胸がつまる。

 

でも最期に、女性のやさしさ、温かさに

救いを求めることができた兵士は

まだ幸せだったとも思い…

(戦場で命を落とした圧倒的多数の兵士は

そうではなかったから)

 
そして、話をしてくれた人の多くが
従軍看護師。
彼女たちが女学校卒で
当時としては教育程度の高い女性たちであり
 
だからこそ、奇跡的に日本に帰ることができた後も
連絡をとりあい、
コミュニティを形成し、
その中のある人たちは
「自分が語らなければいけない」
という使命感から語ってくれたわけだけれど
 
数百人いたといわれる
女性抑留者の中にはそうではない
受刑者、
慰安婦ではなかったかと推察される人もいて、
 
後半はその一人、
帰国者リストに載っていたのに
自ら、ロシアに残ることを選んだ
アーニャという女性の軌跡をたどる
パートになっています。
 
さまざまな資料から
彼女が「村上秋子」という名前で
貧困ゆえに苦界に身を沈めた過去を持ち、
 
ロシア兵相手に体を売りつつ
スパイ活動もしていて
そのために投獄され
シベリアに抑留されたらしい
ということが浮かび上がってくるのですが

 

彼女が送られた抑留地は

こんな恐ろしいところだった。

 

男か女かもわからない姿になって
強制労働をさせられる場所…
 
そんな彼女がなぜ
日本に帰ることを選ばなかったのか
 
image

 

日本では、女は

人間として扱われません。

 

この絶望の深さは

決して彼女だけのものじゃなく

今の日本も歴然とあり

今やっと、その声が

くっきりと浮かび上がっている

状況ですよね…。

 

昨日今日も、Twitterで多くの人が訴えいている

聖マリアンナ大学の

女性受験者へのあからさまな差別とか

電車の痴漢問題とか

レイプ裁判問題とか

 

この取材をされたディレクターは女性の方で

女性だからここまで聞き出せたのかな、

とも思いました…

 

そしてまた、NHKだからこそできた取材であり、番組。

 

小泉進次郎の子供が生まれたのを

速報で流すようなとんちきな局になり果てたけど

 

でもやっぱりNHKは

朝ドラと

こういうドキュメンタリーのために

必要だな、と思いました。