大阪府 トラウトマン大佐様邸訪問記 | 禁断のKRELL

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トラウトマン大佐様邸訪問記 (以下大佐様の発言は【T】)

 

 

 

 

 

 

 



Kiso Acoustic HB-X1 レアなホンジュラスマホガニー仕様(価格はノーマルが170万に

して230万という)のものが大佐様のシンボルスピーカーでシステムの中核を成している。

 

大佐様は以前はALTEC D7という30cmのスピーカーを鳴らされていた。9年程前だと思います。

 

筆者は小型スピーカーを長年使い、巨大なJBLのフロアー型に転向して十数年、

HB-X1は既成概念を打ち砕く、驚異的高性能を発揮していました。

 

 

 

 

 

 

Room Acoustic も完璧だったと思います。

 


Kiso Acoustic HB-X1は楽器の様なスピーカー、大音量で箱に触れると盛大に振動(鳴って)

している。精密なステレオ・イメージ、目を瞑ればサイズが信じ難い広大なサウンドステージが

展開。小型の方が音の立ち上がりが速く、精緻なサウンドを得られる。点音源の方が

音場感(空間の広がり)は有利、楽器音のリアリティーがとにかくハンパなく凄かった!
 

 

FM810の力も大きいのでしょうが、小型キャビネット10cmウーファーからは信じ難い

超低域が放たれた!「なぜこのサイズのスピーカーからこれほどの重低音が!?」

驚異的な低音でした。 10cmバスレフでフロントの台座上部の四角い穴がバスレフです。

 

「【T】内圧を早く出す為の工夫をしているのです」

 


Kiso Acoustic HB-X1は想像を超えるパワーが入る。イベントで「鳴っている」Kisoは凄い!

 

大きな会場を音楽で一杯に満たす様は驚きを持って迎え入れられる。

 

「【T】初めからこんなに(パワー突っ込んで)鳴らしたら壊れるで」

 

「【T】ウーファーのボトミング(ウーファーがゴツゴツ)の所まで入れてボリュームを戻す、

そして少し上げて鳴らし続けると音量を上げられるようになる」

 

「何年も費やしてスピーカーを育てるんや」

 

 

 

 

 



東京インターナショナルオーディオショウでムンドルフの社長がKisoのブースに入り浸り、
写真が趣味でSONYのカメラを自慢していた。世界最高品質のコイルやコンデンサー、
抵抗などを作っているが、実はB&Wなど各社にはネットワーク丸ごと作って納品している。
ムンドルフではKisoにはパーツのみを供給して自社でネットワークを作っている。

 

 

 

 

 

 

大佐様は自作PCにも長年熱中されていた。自作パソコンについて熟知されている。

PCに付きまとうファンノイズを完全に払拭、無音時でも驚くほど静かな環境です。

 

DACはなく自作PCにてリッピングして13~15万ほどのリンクスのサウンドカードから

D/A変換してXLR端子でFM255プリアンプに信号入力されている。

 

 

音質もすこぶる優秀で、ハイエンドDACが本当に必要なのか?と思うほど、

既成概念が崩壊してしまいそうな高音質でしたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大佐様は Kiso Acoustic HB-X1 のセッティングはレーザーで位置決めしたあと、

聴感で追い込んでいく。「【T】セッティングに行き詰った時は試聴位置で

後ろを向いて様子をみる。そこで部屋の音を聴くんだ」

 

 


Kiso Acousticは元々ミュンヘンで先に海外デビューした。海外でよく売れている。
ミュンヘンで世界の楽器的SPの雄アラン・ショウとフランコ・セルブリンが
「お前は凄いスピーカーを作ったな!」 と絶賛。会社を放逐されたばかりだった

セルブリンが「一緒にやらないか?」 声を掛けてきたが、Kiso Acoustic 社長の

原さんは断ったとの事である。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

大佐様はKiso Acousticを楽器として鳴らしている。

 


「【T】よく聞くのが「上から下まで」等では無く、僕は中域の密度と音楽全体を重視している」

 

「【T】諧調のトーンと低域の流れ、低域を塊りで出すより、音の変化、低域のうねりが出る。

出さないと低音を制したことにならない。打楽器の音楽で諧調が出ていないと聴けないんだ。

次にどんな音が出るのかというワクワク感が得られないから」

 

 

またギターを少しやられていた。Kiso Acousticは確かに鳴らすのが難しいし、
鳴らし込みにも時間が掛かるけれど、楽器をやっている人だと良さが良く分かる。
大佐様はジャズを好んで聴かれる方でシンバルの再生にはこだわりを持っているとの事です。

 

スピーカーケーブルはKisoの静のスピーカーケーブル。HB-X1の内部配線はドイツで生産

しているリッツ線でエネルギーバランスが良い。「【T】ノードストの高価なケーブルも

借りたけど地に足が付いていない感じ」 FM255とFM810の間はFMのPITケーブルを

使用されている。「エネルギー感が漲る音」との事です。

 

筆者 「確かにValhalaなどは低域を細くして高域の通りを良くするケーブルですからね」

 

 

 

 


 

 

 


FM acoustics FM810 圧倒的な底力や駆動力で810を聴くとFM411やFM711は

正直霞んでしまう。実に45kgという重量級アンプにありがちな音の鈍さや雑さが微塵もなく、
非常に精密で浸透力のある音を出す。持ち込んだ女性ボーカルも素晴らしかったが、

楽器の音のリアリティが素晴らしく鳥肌が立った。天板には色々な制振材が、

足の下には(上から)金属とゲルと黒檀の三層のインシュレーターを完備。
アンプ下のベース部分は薄手の金属製制振ボードでセッティング。
FM acoustics FM810は30年ほど前の製品だが音質に古さは全くなかった。
驚異的製品である。ただし昔のアンプだから現代アンプの様な透明感のある薄い口の音、
トランスペアレンシー重視タイプではない。FM811との違いは810がメタルキャンタイプの
出力素子を使っているが811になってセラミックプラスティックパッケージに変更。
つまり金属製のシルバー色の円形状の素子から足付きの黒色パワートランジスタへと

変更された。FMの音と云っても実はいくつかのタイプに分かれている。クラシックシリーズと
レゾリューションシリーズの音質傾向は全く異なるし、レゾリューションシリーズの中でも
低域がソリッドで締まったタイプもあれば、柔らかく量感を感じさせるものもある。
FM810は硬調で硬派な輪郭の切れ味がありながら、低域は柔らかい音だと思いました。
FM255との組み合わせでしたが暗めの陰影があり真空管的な音色でした。
こちらのFM810はスピーカーケーブルの短絡で一度トランジスターを飛ばしたが、
保護回路でカバーできなかったのは経年劣化によるコンデンサーの容量抜けが原因だった。
電解コンデンサーを総取り換えしたが「【T】音に変化は全くなかったよ」
僕も実際に聴いて石やコンデンサーをaxissで交換しても精巧なFMサウンドは盤石でしたね。

 

 

 

 

 

 

 

Kiso acousticsの原さんが酔っ払った時に言っていたそうです。

 

 

「いいか?オーディオを制するのは剛と柔やぞ!」

 

 

 

 

 

「〇〇さん、もしFM810を手放す時があれば※※※万で売ってくれませんか?」


「それは他に何人にも言われたんだよ」

 

 

 

思わず二人で笑い合いました。

 

 

 

 

 

 

 

FM810は30年ほど前の製品とは思えないほど外装が綺麗でしたが、
友人に塗装を塗りなおして貰ったそうです。

 

 

「【T】30年前のEUの塗装技術と今の日本の塗装技術は水準が違うからね」

 

 
 
 

 

 


FM255は音質上ベストな11時程度にVRを固定してPCで音量をコントロールされている。

 

 

アルプス電気のボリュームは15年間で一度交換されている。

 

 

筆者もFM255を所有した事があるが、

axissで選別品に交換してもらって総費用は15,000円(当時)ほどだと思う。

 

 

 

スピーカーケーブルはKISOの7芯のリッツ線である。これに電磁波シールドを施して

いる。KIT HITのスーパーツィーター用は同じ線を剥き直して一芯をプラス用、

もう一芯をマイナス用にして使用されている。

 

 

またFM255とFM810は最初 「ジー」という残留ノイズが結構大きかったそうです。

訪問時にはボリュームオープンにしてツイーターに近づいてやっとサーノイズが

分かるほどに低減されていましたが、徹底した電磁波対策により大幅な改善が

得られたそうです。残念ながらネットではノウハウは公開できませんが、

お知りになりたい方はコンタクトを取ってご訪問頂ければ教えて頂けるかもしれません。



外観の程度の良いFM255プリアンプもお持ちですが、故障についてお尋ねしました。

FM255は4個のmoduleを使っている。input module 2個と output module2個で
合計で4個のmoduleを使用されている。15年間使い、

解析修理はinput module2個がそれぞれ2回ずつで合計4回である。

パワーアンプのFM810はmoduleは2個だけ使われている。

10年間使い、1個のmoduleが故障した。パワートランジスター、
電解コンデンサーの全交換と合わせて片方のmoduleは

故障していなかったが、事前予防として2個とも解析修理した。

 

つまりパワーアンプのmoduleは10年間で合計1回故障である。

修理代はプリ用とパワー用で異なっているが、

 

125,000円と135,000円(一個・現在)と高額である。

ちなみに解析修理ではなく、交換する場合はプリ用が確か約50万、パワー用が30万です。

 

 

 

 

 

 



FM acoustics Manuel Huber 氏は昔は日本によく来ていたが、
交通事故で足を悪くして以来、寒い日本には来たがらないらしい。
「はて?スイスの方が日本より寒冷な気候では?」と思い尋ねましたが、
「【T】フーバーはタイのプーケット島に長期滞在しているらしいよ」

 

なるほど、タイは気候が良いものなあ。




オフ会の終わりに。

 

 


 

 

 


トラウトマン大佐のHNの由来についてお聞きしました。

 

「〇〇さんも武道をやられていたそうですね?」

 

「【T】いや、でも喧嘩は良くしたね。(声色が凄みを帯びて)

闘争本能・・・・というのかな、自分は昔は荒くれものだった、

例えるならランボーのような感じだ。今は大人になって落ち着いて

ランボーを諭す上官だったトラウトマン大佐になったという訳なのさ」


 

 

今回の訪問でも本当に学ぶことが多く、貴重な経験が得られました。

トラウトマン大佐といえば武闘派というイメージのお方ですが、

直接話せば分かりますが、理路整然と話される知的な方でしたね。

 

昔は真空管一筋だったそうで、経験も豊富ですからお話ししていてとても楽しかったです。

 

 

大佐様のリスニングルーム、「男の城」は内装も非常に綺麗で几帳面に整えられて、

 

間接照明も多用されていて、大変に心地よい空間でした。サーキュレーターや

空気清浄機も高級品を使っておられます。FM411は発熱は殆どないのですが、

結構発熱するFM810を空冷するサーキュレーターは無音時でも最小の風力だと

完全に無音でしたね。

 

 

前のKisoは8年間使われました。新しいHB-X1はまだ半年で鳴らし込みの途上ですが、

音に関しても完成の領域に達しつつあるようです。

 

 

 

大佐様に帰りに車で送って頂いて、車が駅前に到着しても話し込んでいたところ、

ここでは書けない衝撃的な経験が・・・・・・・ありました( ゚Д゚)

 

 

 

大佐様、素晴らしい体験をありがとうございました。