さて・・・先日のテレビ番組で、私が実演していた卵焼きについてです.
「卵に酢を加えて焼くとふんわり美味しくなる」
よく耳にする裏ワザですね.
これはなぜか?
ポイントは卵液のpH(ペーハー)です.
お肉や卵を焼くと硬くなりますね.
あれはタンパク質が熱によって凝固する為です.
特に卵は液体の状態から固まるので変化も大きく、焼くときの温度や卵液の状態によって焼き上がりに大きな違いが生まれます.
お酢を入れるとふんわりするのは、卵液のpHをある数値に変えるためです.
それは、pH4.7です.
この数値は、卵に多く含まれるアルブミンという成分の等電点です.
等電点とは、プラスとマイナスの両方の電荷(チャージ)をもち得る分子が、電離してプラスとマイナスの電荷の和がゼロになる、つまり電荷をおびない状態になるpHを指します.
この状態では、タンパク質分子はランダムに結合しやすくなり、凝固点が低くなります.
しかも、このように凝固した場合は、タンパク質がいろいろな方向を向いて凝固するためにボリュームが増えます.
等電点でない場合は、逆に電荷によってタンパク質が一定の方向に並んで凝固します.
したがって、お酢を加えてpH4.7にした卵液を焼くと、通常よりも早く固まりふんわりと仕上がるのです.
気を付けないといけないのは、加えるお酢の量です.
タンパク質は、等電点よりも低い(酸性より)ならマイナスの電荷をもち、高い(アルカリ性より)ならプラスの電荷をもちます.
だから、お酢の量が多くても少なくてもいけません.
卵液は何も加えないと中性付近のpHです.
卵3個につき小さじ1杯加えると、pH4.7くらいになるのですね.
(その後、pHメーターで調べてみたら、この分量でpHは加える前の7.0から5.7になっていました. 等電点まではいきませんが、大分酸性よりになっています. あまりお酢を加えすぎると酸っぱくなるので、このくらいの分量が味、ふんわり効果のバランスがいいのかもしれませんね.)
実際に焼いてみると驚くほど違いが出ます.
卵3個をよく溶いて同量に分けます.
左のほうに米酢を小さじ1/2杯加えます.
写真のスプーン2杯分.
同じように焼きます.
まずは何もいれないほうの写真.
薄く油を塗ったフライパンに流しいれて・・・
固まってきた部分を端に寄せて・・・
巻きます.
今度はお酢を入れたほうの写真.
同じく
フライパンに流しいれて・・・
何もいれないほうと比べると、この時点で厚みが出てきます.
焼き上がりを比較すると一目瞭然.
右がお酢なし、左がありです.
輪切りにすると、さらに違いがよくわかりますね.
こんな風に、お料理って科学で説明できることがたくさんあるんです.
実際に、こういったことをテーマにしている研究者さんも大勢いらっしゃいますね.
ちょっと知っているとうまくできるコツ・・・でした!
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それは、pH4.7です.
この数値は、卵に多く含まれるアルブミンという成分の等電点です.
等電点とは、プラスとマイナスの両方の電荷(チャージ)をもち得る分子が、電離してプラスとマイナスの電荷の和がゼロになる、つまり電荷をおびない状態になるpHを指します.
この状態では、タンパク質分子はランダムに結合しやすくなり、凝固点が低くなります.
しかも、このように凝固した場合は、タンパク質がいろいろな方向を向いて凝固するためにボリュームが増えます.
等電点でない場合は、逆に電荷によってタンパク質が一定の方向に並んで凝固します.
したがって、お酢を加えてpH4.7にした卵液を焼くと、通常よりも早く固まりふんわりと仕上がるのです.
気を付けないといけないのは、加えるお酢の量です.
タンパク質は、等電点よりも低い(酸性より)ならマイナスの電荷をもち、高い(アルカリ性より)ならプラスの電荷をもちます.
だから、お酢の量が多くても少なくてもいけません.
卵液は何も加えないと中性付近のpHです.
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(その後、pHメーターで調べてみたら、この分量でpHは加える前の7.0から5.7になっていました. 等電点まではいきませんが、大分酸性よりになっています. あまりお酢を加えすぎると酸っぱくなるので、このくらいの分量が味、ふんわり効果のバランスがいいのかもしれませんね.)
実際に焼いてみると驚くほど違いが出ます.
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写真のスプーン2杯分.
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巻きます.
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同じく
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焼き上がりを比較すると一目瞭然.
右がお酢なし、左がありです.
輪切りにすると、さらに違いがよくわかりますね.
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