DanieLonely the Lacky Line「誰だ。カレーにスイカを入れたのは」 | メイン・ストリートのならず者season2

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「DanieLonely」というカッコいい名前のグループによる、「誰だ。カレーにスイカを入れたのは」という突拍子も無いタイトルの、夏の夜の風情漂うお芝居。

期待の大きかった今回のお芝居は、ユニット名や演目のタイトルに負けず劣らず、俺の心に残るものになった。



コトリ会議の山本正典さんの描く世界は独特で、どこか風変わり。

このタイトルからも、それは想像するに難くない。

だが、これは男なら誰でも覚えがあるような、幼い頃の遠くて固い約束を巡る、3人の男の話。

DanieLonelyの3人の男優によって交わされる、テンポの良い言葉のキャッチボールと、脇目も振らず前進全力でぶつかり合う姿は、実に爽快で、どこかで出会ったことのあるなつかしさを感じる。

それは畳敷きの、蚊取り線香の香り漂う舞台のせいもあるかもしれないが、3人の男たちのチームワークの素晴らしさによるところが大きいのだと、俺は思う。

3人の中では最も普通の人生を歩んできた感のある金麦(加藤智之さん)、純粋な心も頭の中も少年の頃のままの村田(濱本直樹さん)、そして終始胡散臭い雰囲気のまま自身の過去を最後まで隠し通そうとするサックス(神藤恭平さん)。

それぞれの歩みや立場は違っても、友情だけは変わらない。

金麦、村田、サックスの3人の絆の強さは、そのままDanieLonelyの3人に通じるものがある。

だからこそ胸が熱くなり、あたたかい気持ちになれるのだ。


そこに加わった3人の魅力溢れる女優が、熱くあたたかい物語に華を添える。

男たちとは異なり、女性同士の会話は「かくかくしかじか」でまとめられていて、激しい体と体のぶつかり合いもないが、女優3人のパフォーマンスは実にクオリティーが高い!

妻として金麦を支えるのに最適の女性だと思わせてくれるたまき(大江雅子さん)、村田に好意を寄せる、かわいらしさ際立つ女子大生のくさこ(塩尻綾香さん)、そして20年前にサックスに弄ばれ、今は悪霊の姿になっているこのみ(下島りえさん)。

3人の女性がそれぞれ違う男に関わる姿を見ると、「やっぱり男が生きていくためには、女が必要なんだ」と思わずにはいられない。

なかでも、この物語の鍵を握るのは、サックスが隠し通そうとしていた過去を洗いざらい告白させること。

そこへ導くりえさんの熱さに、俺の胸も熱くなる。

前作「ファーマーズROCK」でMVP級の活躍で魅せてくれたりえさんの渾身のパフォーマンスは、今回も健在だ。


サックスが隠し通そうとしていた過去を告白し、みんなで花火を見に行こうとするところで、物語はエンディングを迎える。

サックスとこのみは結ばれなかったが、俺にとっては「正しい」結末だ。

3人の男たちが経験した20年前の思い出は甘く、そして苦い。

そういう意味で、エンディングで流れた「ビター・スウィート・サンバ」は、ベストマッチだった。

千秋楽終演後、振る舞われたスイカをいただき、帰りにカレーを食べた。

既に40代半ばの俺にとっても、素敵な夏の思い出になった。

ありがとう、DanieLonely。


個人的に最も印象に残ったのが、塩尻綾香さんが下島りえさんにお札を貼り付けたシーン。

あのシーンは、絶対にこの二人にしかできない。

あの味は、絶対にこの二人にしか出せない。

舞台で輝く二人がいたから、永遠に続くような夏になった。

いつかまた、あの夏に戻りたいと思う日が、きっと来るだろう。

Those were the best days of my summer!