【BBC】イギリスの方が南シナ海に強い危機感【NHK】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。

 この頃、イギリスの媚中姿勢が指摘されている。
 イギリスの甘い対中姿勢はわが国にとっては困りものだ。


「藤井厳喜『中華帝国の属国と化する英国の悲劇①』AJER2015.10.8」 YouTube2015年10月7日
https://www.youtube.com/watch?v=a9rVvZrzMoQ



 イギリスは製造業が衰退し、金融サービス業が経済の頼みの綱だが、これが不調となっており、中国からの投資をあてにしている。


「【宮崎哲弥】増税大好き“なんちゃってリベラル”民主党は金を返してさっさと解党しろ!!ザボイスそこまで言うか!2015年12月9日(水)」 YouTube2015年12月9日
https://youtu.be/pjsARcTFjs8?t=51m17s



 というイギリスだが、15日のNHK-BS1の「ワールドニュース」を見たら、同国の公共放送局であるBBC(英国放送協会)が、南シナ海における中国の傍若無人を伝える独自取材を行い、放送していた。
 しかもトップニュースだ。
 私は大変驚いた。
 この放送はネット保守の間でも話題になっているようだ(https://twitter.com/boyakuri/status/676957277404950528)。


「China Navy to BBC: 'Stay away from islands' - BBC News」 YouTube2015年12月16日
https://www.youtube.com/watch?v=LVeKbEgn50o



「BBC記者、南沙諸島の人工島に上空から接近 中国海軍は警告を」 BBC NEWS JAPAN 2015年12月15日
http://www.bbc.com/japanese/video-35099381

「BBCのルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ記者は昨年、南シナ海で中国が造成する人工島に漁船で接近し、建設の様子を間近で確認した初の報道記者となった。今年12月に記者は今度はフィリピンから小型の民間単発機に乗り、140カイリ離れた南沙諸島の人工島に上空から接近した。中国政府はこのフライトを再三、阻止しようとしてきた。
小型機が島に近づくと共に聞こえてきたのは、中国海軍の警告だった。」

※ リンク先のページで、日本語字幕付きの動画を見ることができる。


「SOUTH CHINA SEA DISPUTE」 ワールドニュース2015年12月15日

BBCより(日本時間午前7時放送)
通訳:本庄紀子

「 まずは南シナ海において、断固として勢力を拡大する中国の、滅多に見ることのできない姿からお伝えします。
 南シナ海は世界で最も領有権が主張されている地域の1つです。
 中国の領有権の主張に対しては、アメリカをはじめ、各国による異議が強まっています。
 南沙諸島で中国が建設した人工の島に対しては、アメリカや各国が不法だと主張しています。
 アクセスが難しい南沙諸島ですが、BBCの記者が小型の民間機でフィリピン沿岸からおよそ140マイルの所にある、中国が主張するセキュリティーゾーンの上空を取材しました。
 独占取材です。

<VTR>
 間もなく夜明けを迎えるフィリピンのパラワン島です。
 この時間でも、既に暑くなっています。
 しかしここにいると、海の向こうで起きているトラブルは、けだしも(?)感じられません。
 中国政府はこの取材をやめさせようとしましたが、私たちは間もなく離陸します。
 滑走路を移動する間、機内には緊張感が漂います。
 私たちは誰もやったことのないことをやろうとしているのです。

 南西に向かいます。
 中国が支配するいくつかの岩礁へと向かいます。
 そこではこの1年半、中国が大規模な埋め立てを実施しています。
 取材の目的は2つあります。
 1つは中国がしていることをこの目で見ること。
 2つ目はほとんどの国が国際的な空域と見なすエリアで中国が私たちの通行を阻止しようとするかどうかを確かめることです。

 フィリピンからわずか140海里のところに新しい島を見つけました。
 ここはミスチーフ環礁と呼ばれる場所で、1年前までは水中の環礁以外に何もありませんでした。
 ところが今や、大量に浚渫した土砂などを使い、巨大な人工の島ができています。

 さらに20海里進んだところで警告を受けました。
『美济環礁(ミスチーフ環礁のこと)北西にいる外国軍機に告ぐ。こちらは中国海軍である。
 そちらはこちらを脅かしている。
 ここには近づかず、即刻引き上げるように。』
 眼下には中国の軍艦が2隻見えます。
 私たちのパイロットはそわそわし、引き返そうとします。
 こちらは民間の航空機で、公海上空を飛行しているにもかかわらず、何度も威嚇されました。
『中国海軍へ告ぐ。こちらは民間のエンジン1基を積んだ航空機で、乗客を乗せ、パラワン島へ向かう。』
 中国側はこちらが外国軍機、未確認の機体だと連呼し、ただちに出て行くように中国語と英語で繰り返しています。
 こちらは軍用機ではなく民間機だと機長が説明しても、そんなことは関係なく、出て行くように威嚇を繰り返しています。
 飛行を続けると島の全容が明らかになりました。
 海上には夥しい船の姿が確認され、島にはセメント工場が建てられています。
 そして、建設中の滑走路を初めて目にすることができました。
 ここを飛び立つ中国の戦闘機は、9分でフィリピン沿岸に到達することができるのです。

 この1年で、中国は南シナ海に少なくとも7つの島と3本の滑走路を建設しました。
 1本はここミスチーフ環礁に、もう1本はスービ環礁、そして最大のものがファイアリークロス環礁にあります。
 その目的は、南シナ海全域に対する、中国の領有権主張を強化することにあります。
 これに対し、アメリカと同盟国が反応しています。
 その一例が、この無線です。
『中国海軍へ告ぐ。こちらはオーストラリアの航空機である。
 我々は国際空域において国際的な航行の自由の権利を行使しています。』」

通訳:五十嵐顕子

「 聞こえるのは、オーストラリア軍機が航行の自由を主張している無線です。
 世界貿易の4割以上がこの海上を通っています。
 中国はこの海上を監督下に置きたいとの決意を示していますが、アメリカと同盟国がそれを許すつもりはありません。
 ただ、中国を止めるのは、もはや手遅れかもしれません。

<スタジオ>
司会:中国担当論説委員に聞きます。
  中国の強硬な姿勢を示すレポートを見ましたが、この動きにはどんな重要性があるのでしょうか。
論説委員:レポートが示したのは、南シナ海で中国が領有権を主張する自然の島と造成中の人工島の様子です。
  中国と、第二次大戦終戦以来この海域を監視してきたアメリカとの間の懸案事項となっており、アメリカにとっては、中国の領有権主張に手をこまねくわけにはいかない案件です。
  国際法から見れば、中国は人工島を作って領有権を主張することはできませんが、中国側の見方は違います。
  中国が、現行の規定を変えて、強硬な姿勢を示し、相手に妥協を迫ろうとする態度は、たとえば、フィリピン沿岸140マイルの滑走路造成などにも示されています。
  中国の姿勢は、南シナ海全体で自国の主張を推し進めるため、リポートにあった滑走路のみならず、巨大な海軍力増強を行うというものです。
  中国は、領有権や主権にまつわる主張には一切妥協しない意向であり、国際司法裁判所の監督(?)ではないという姿勢を強硬に計画を推し進めることで示しています。
  アメリカや域内のアメリカ同盟国にとっては受け入れがたい主張です。
  南シナ海の島に関しては、いくつかの国が中国と領有権を争っており、オーストラリア、日本、インドは、中国の動きを西大西洋(「西太平洋」の言い間違い?)を自国の管轄下に置こうとする試みだとみて、危険であると、大きな懸念を持っています。
  南シナ海に展開している中国の船は、軍ばかりでなく、民間の漁船などもあり、皆愛国心に燃えて自分の権利拡張を求め、大国アメリカと立ち向かおうとしています。」


 BBCは、危険を冒し、南沙諸島上空を飛び、中国によるミスチーフ環礁埋め立ての実態を撮影した。
 中国の強硬な領土拡張の態度について解説し、手遅れかもしれないと言えるほど中国有利に事態が進んでいることを報じ、アメリカおよびその同盟国に警告を発している。

 これはわが国の安全保障にとって非常に重要な報道だと思う。
 マスメディア、特にテレビはBBCのこの取材を取り上げたのだろうか。
 NHKは、BS-1で流すだけで、自局制作のニュース番組でこれを取り上げなかったのだろうか。
 NHKニュースウェブで検索をかけてみても、一件も引っかからないが。

 わが国のマスメディア、特にテレビは安全保障について役立たずだ。
 こういう中国の脅威を知ってこそ、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を実現しようとした理由がわかる。
 わが国のマスメディアは、わが国に訪れている危機を伝えようとせず、安倍政権打倒のための世論誘導を謀るものが大勢だ。
 もしそうでないなら、国民は安全保障関連法にしても特定秘密保護法にしてもその必要性を理解し、むしろ内容が物足りないとすら感じ、これらの法律について不安が高まることなどなかっただろう。ていうか、「こんなに物足りない法整備で国を守れるのか?」という、別の不安が生じるかもしれない。
 「亡国」という煽り文句を使いすぎるのはよくないが、しかし、マスメディアについてはこの言葉がよくあてはまる。
 反日マスメディアは国民の耳目を塞ぎ、「知る権利」を蹂躙し、敵国を利し、わが国を存亡の危機に陥れようとする。
 奴らの言うことに従えば国が亡びる。

 本来であれば、BBCが今回行ったような中国の脅威についての取材および警告は、わが国のテレビ局こそがやるべきである。
 しかし、おそらくやっていないだろう。
 NHKは、かかる中国の脅威を国民に伝えるどころか、むしろ、中国に情報提供をしていることさえ疑われる。


西村幸祐 「NHK亡国論 公共放送の「罪と罰」、そして「再生」への道」 (KKベストセラーズ、2014年) 126~132ページ

「主義のために死ね」理論

(中略)
 そして、「頑張れ日本!全国行動委員会」の漁業活動を、CCTVがニュース番組で映像をもって報道した。中国国際問題研究所の阮宗沢副所長が番組中でこうコメントしている。

 「日本右翼の釣魚島での不断の挑発は、中国の出方を測るものであり、我々は断固たる姿勢を見せなければならない。四月二十三日には百名以上もの右翼分子が漁船に乗って釣魚島海域へ侵入しようとしたが、中国の海監がその駆逐に成功した。これは中日の釣魚島での攻防情勢を転換させる事件だった。今回も駆逐に成功したが、これは情勢転換をさらに強化したという意義がある」

 しかしこれは捏造である。<<「頑張れ日本」は駆逐を受けていない。たしかに活動終了後、石垣島への帰途に就く漁船団を二、三十分に亘って追尾してはきたが、漁船はそれから逃げたのではなく、あくまでも帰途に就いて航行しただけのことだった>>と永山氏は報告している。シナが事実を捏造し、プロパガンダを行うのは当然のことであり、シナ側の国益を考えることで理解可能である。まったく当然ではなく、理解を超えている重大な問題はここからだ。
 CCTVのニュース番組を受けて、「頑張れ日本」の幹事長、水島総氏が同年(平成25年)七月、日本文化チャンネル桜の番組内で、次のようにNHKを糾弾した。さて、ここにNHKがどう関係しているのだろうか。

 <<「頑張れ日本」の尖閣諸島集団漁業活動を、シナのCCTVが報道しました。CCTVは「海監を派遣し、不法侵入した日本の右翼分子を排除した」などと報じています。このニュースは皆さんご存じのように捏造報道なのですが、それよりも問題なのは、CCTVが製作し放映したプロパガンダの映像の素材を、NHKが提供していたという事実です>>

 CCTVがニュースで流した映像、尖閣諸島を空撮したものだが、それには「中村祥映像取材班」というテロップが打ってあった。チャンネル桜は、中村祥なる人物がNHKのニュース番組の出演者であることを調査し、件の映像がNHKのものであることを証明している。
 つまり、NHKはシナが日本を貶めるプロパガンダ放送のために映像素材を中国共産党の宣伝機関に業務提携のように提供して恥じないのだ。使用された映像に、NHK提供であることを示すテロップを何の臆面もなく残していることがそれを証明している。
 問題はこれにとどまらなかった。NHKはCCTVが放送したこのプロパガンダ・ニュースをNHK BS1の国際ニュース番組「ワールドWave」でそのまま通訳を施して放送したのである。
 チャンネル桜はNHKに質問状を提出した。NHKは広報からこう答申した。

 <<NHKは、中国に限らず、海外の放送機関と映像を交換する様々な仕組みをつくっています。個別の映像の扱いについては、お答えしていません>>

 過不足なくたったこれだけである。これについてチャンネル桜は、該当の「尖閣諸島集団漁業活動」に参加した山田賢司衆議院議員の同様の質問に対しては、NHK経営企画局が詳細に説明したことを明かしている。
 そのこと、つまり対応の差自体、すでに保身に敏感な体質の嫌らしさとともに大きな問題をはらむ。さらに深刻なのは、山田議員への返答の中で、<<中国共産党のプロパガンダに利用されることがわかっていても今後も映像の提供を続けるのか>>という質問に対してNHKは<<続ける>>と明言したということである。
 おそらくは、「言論・報道の自由」を言い、「番組編集権の自存」を言ったものだろう。しかしこれは「主義のために死ね」理論である。
 「主義のために死ね」も、ある局面においては輝き光る思想である。しかしこの場合におけるNHKの言い草は、腐れ縁であるのか、理性的計算のうえでの利害のあるものなのかはともかく、保っていかなければならないシナとの関係の言い訳でしかない。
 チャンネル桜は、今件に関する糾弾特別編成番組の中でNHKの報道番組「ニュースウォッチ9」の報道と、本書ですでに幾度か登場している大越健介キャスターの言説についても触れている。<<日本政府が島を固有化して以来、今日で五十一日目にのぼる中国当局の船の領海侵入。その多くは日本の漁船が尖閣諸島に近付いた時に起きています。緊張が続く対立の海。解決の糸口は見いだせるのか?>>というアナウンスの後、大越キャスターはこう結ぶ。

「尖閣諸島周辺で映像がとらえた海域の様子。偶発的な出来事が深刻な事態に発展しかねない現実でした」

 「頑張れ日本」の「尖閣諸島集団漁業活動」は、この報道当時で十五回目である。この文脈はCCTVがニュースで流したものとまったく同じであり、かつ、虚偽である。尖閣の問題は日本政府が島を固有化して以降に激化すると強調して日本側に原因があるように印象操作するのは、シナ側の人間のやる手法だ。尖閣諸島の歴史的事実、はびこる誤謬への反論については長崎純心大学准教授、いしゐのぞむ氏の『尖閣反駁マニュアル百題』(集広舎)に詳しい。
 そして、大越キャスターの結びはまさにシナ側の人間が言うべき、また実際に口にもしている、シナが行うべき脅迫である。
 NHKは利用されているばかりではない。明らかにシナに協力し、シナの国益に立っている。

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 一般論で言えば、何がプロパガンダに使われる映像なのかは事前には確定できないし、相手がこちらに提供した映像をこちらも相手を批判するプロパガンダに用いることもできるという点では、NHKの言い分もわからないわけではない。
 しかし、尖閣諸島は中国が奪おうとしているわが国の領土であり、また、中国公船が水上から尖閣諸島を撮影していたとしても、彼らは空撮は容易にはできないのであるから、未公開の空撮映像を中国側に提供していたとすれば、NHKは中国の侵略に加担しているという誹りを免れない(未公開部分を提供したかどうかは私は知らない。公開部分でも、加工を施していない元の映像を提供することには問題があるかもしれない。)。
 しかも、NHKは中国を批判する意思をも欠く。
 「NHK亡国論」の引用部分の続きは、昭和47年の日中国交正常化以来、NHKが中国共産党を利するプロパガンダを行っており、平成5年6月3日の「クローズアップ現代」の「天安門事件において天安門広場において虐殺はなかった」という根拠薄弱のプロパガンダ番組を放送したことなどを指摘している(http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_32.html)。
 NHK解説委員副委員長の島田敏男氏は、明らかに中国の味方だ。
 安全保障関連法についても、不安を煽る不公正な報道を行っていた(「くらし☆解説」など。http://cgi2.nhk.or.jp/cgiblog/search.cgiで「島田 敏男」で検索すれば放送内容の文字起こしおよび使用された画像を閲覧できる。同法の解説ではないが、島田委員が解説したhttp://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/225319.htmlで使用されたhttp://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/image/j150818_02_2.jpgなど、安倍総理大臣に対する悪意を見て取ることができる。解説内容も結局のところ「歴史認識は中国様のご機嫌を取れ。抑止力を強化するな。」という話。)。
 長年にわたって利敵行為に励むNHKだからこそ、CCTVへの情報提供について危険を感じざるを得ないのだ。


西村幸祐ツイッター 2015年6月28日
https://twitter.com/kohyu1952/status/615023430056833024


「【報道検証】中国反日デモと日本尖閣デモのNHK報道を検証する」 YouTube2012年2月5日
https://www.youtube.com/watch?v=VcojRAxqEHM



 本来であれば、安全保障関連法にしても特定秘密保護法にしても、はたまたオスプレイ配備にしても、これらについて意見を述べるのは結構だが、あまりに馬鹿げた反日言論は、取り上げる価値なしとして、報じないのが相当だ。
 しかし、NHKは10分程度の短いニュース番組でも、ご丁寧に反日言論を取り上げ、国民に流布する。
 NHKに限らずではあるのだが、テレビのニュース番組は、中立性の建前の下、安倍政権がわが国を守るためにまともな政策を推し進めようとすると、これと対立する、利敵行為となる反日言論をも垂れ流し、中立性を装っているのではないかと思う。
 反日の利敵行為の意見も時には紹介してもよいのかもしれないが、もし紹介するのであれば、批判も併せてしないといけない。
 中立性の建前の下、政府が国益を守ろうとするたびに、マスメディアによって反日言論がじわりじわりと国民に浸透してしまう。
 国を守るという意見に対し、国を滅ぼすという意見も紹介することをもってはじめて中立性が保たれるのではない。
 国民に広く知らしめるべき意見は、国を守るという前提を要する。
 NHKをはじめとするテレビ局は、国を滅ぼす意見も尊重すべき立派な1つの意見として価値を認めているように見られる。反政府・反日の意見には、それ自体に価値があるという見方だ。
 政府から独立し、中立の立場をとるということと、反政府・反日の立場をとることとは違う。
 中立の立場から客観的に見て、政府が行っている政治がわが国の利益に適っているのであれば、賛同すればよいし、賛同しなければならない。
 正しいことをやっても批判され、票に結び付かないのであれば、政治家も国益のために働く気を減退させてしまう。損をするのは我々だ。
 反日言論を垂れ流すことが、中立性を装い、なおかつ戦前の歴史を謙虚に反省しているという「良識」を装うことになり、テレビ局の保身になってしまうという、逆転現象になっている気がしてならない。
 当たり前だが、反日言論を垂れ流すテレビ局など、外国に与してわが国の安全保障を脅かす危険極まりない存在であり、良識であるわけがなく、取り潰しが相当だ。


西村「NHK亡国論」56~62ページ

稚拙な偏向報道は「NHKの保身」が理由

 この、NHKの議論する気にもならない偏向ぶり、報道としての稚拙さについて、実は私にはひとつ、思いあたる節がある。冗談ととられることを承知のうえで言うが、それは「放送法の遵守」ということだ。それも、「きわめて幼稚な発想で遵守しようとしているのではないか」ということである。
 放送法の「第二章 放送番組の編集等に関する通則」の第四条、国内放送等の放送番組の編集等について定められた条文は次の通りである。

  第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
   一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
   二  政治的に公平であること。
   三  報道は事実をまげないですること。
   四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 もちろん改定は重ねられているが、前述したように、昭和二十五年(一九五〇)五月二日に施行された放送法は、NHK設立のためにつくられた法律である。受信料ひとつとっても、NHKはこの放送法に守られている。
 NHKはどうしても現行の放送法を維持する必要があり、よって自らもこの法律に縛られる必要がある。つまり、放送法の遵守は「NHKの保身」がすべての動機となる。
 おやっ、と思われること必然である。右記の放送法第四条を見る限り、NHKはどれひとつとして守っていないではないか、という声が聞こえてきそうだ。
 その通りである。常識的に考えて、NHKは放送法第四条のいくつかの項に違反している。NHKばかりでなくほとんどすべてのテレビ局が違反していると言えるだろう。ただし、それは、それ相応の告発があり、証拠固めがあり、裁判所がそう判断した場合に限るのである。
 私が先に「幼稚な発想で」と書いたのはこういう意味だ。NHKは、政府の意向に反対する言説に擦り寄り、政府のプランに非を見つけてそちらへと偏向する報道を行うことを、二項の「政治的に公平であること」、および四項の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」の遵守と考えているのではないか、ということなのである。
 方法論としてはきわめて簡単で、極端に言えば、政府反対派のデモなり反対集会なりを画面に映し出せばそれでよい。反対派のコメントをとって流せばそれでよい。発展的な議論ないし意見は番組側には必要がない。なぜなら、それは政府がやるべき事柄だからだ(しかし、メディアとしてはこれ以上の堕落はない)。
 もちろんこれは「遵守」ではない。放送法をもって訴訟を起こされないための方法論、保身戦略である。なぜそれが保身となるかと言えば、政府の意向に反対の姿勢さえ見せていれば何も問題が起こらないという不可解な慣習がマスコミ業界、および戦後日本の情報空間に歴然とあるからである。
 その逆パターンとしての好例がが、平成十七年(二〇〇五)に起こっている。その四年前の一月にNHKが放送した、いわゆる「従軍慰安婦」に関する番組をめぐって、当時官房副長官だった安倍晋三氏と、当時経済産業相の今は亡き中川昭一氏がNHK幹部と面会し、「公平・公正にやってください」と要請したことが発覚した、と朝日新聞が報道した。
 朝日新聞は、一月十二日の紙面で、<<安倍、中川両氏が慰安婦に関する番組の編集についてNHK上層部に圧力をかけた>>とする、きわめて異例な規模の報道を行った。しかし実際には、朝日新聞の記事は取材に基づかない”捏造”だった。安倍氏は政治的圧力をかけたという報道を否定し、故・中川氏は朝日新聞の事実誤認に対して訂正と謝罪を求めた。
 そして、朝日新聞の報道の仕方も異例なら、負けずに異例ともいえる反応を起こしたのがNHKである。朝日新聞への反発はきわめて強く、「朝日新聞虚偽報道問題」と題する非難のための特別放送をNHKは編成した。
 平成二十六年(二〇一四)一月二十五日に就任した籾井勝人NHK第二十一代会長をめぐる一連の騒動も、これが理由のひとつだった。

 <<四月三十日の理事会でのこと。籾井勝人会長が、消費増税に不安を抱える人を取材したニュース番組について、「困ったというだけではニュースにならない」といった趣旨の発言をし、同じ番組の中で、低所得者への負担軽減策の議論も取り上げるべきだと主張した>>(平成二十六年(二〇一四)二月二十六日、朝日新聞社説より)

 消費増税にまつわる政策の一環として政府が掲げた低所得者への負担軽減策も合わせて報道すべきだったと語っただけで食いつかれるのだ。
 さらにはまた、同年八月二十一日に、NHK退職者有志千五百二十七名がNHK経営委員会に対し、籾井勝人会長に辞任を勧告するか罷免するよう申し入れる事態が起きた。申し入れ後に、池田恵理子(元ディレクター)、大治浩之輔(元盛岡放送局長)、川崎泰資(元ボン支局長)、小池晴二(元美術デザイナー)、小中陽太郎(元ディレクター)、永田浩三(元プロデューサー)、村上信夫(元アナウンサー)の代表七氏が記者会見を行い、申し入れの理由を次のように述べた。

 <<「政府が右と言うのを左と言えない」などと発言し、その姿勢を変えていない籾井氏が会長にとどまるということは、政府・政治権力から独立した放送機関であるべきNHKにとって重大な脅威となっており、さらにいまNHKで働く人たちが、会長の存在によって特別の困難に直面している>>

 これもまた、右記の事情を端的に象徴している。NHKはとにかく「政府寄り」であるとみなされることを極端に恐怖する。とりわけ戦後レジームからの脱却を謳う安倍首相とは明確に敵対の関係を示し続けなければならないことは、前述したGHQ占領下におけるNHK設立の経緯を見ても明らかなのだ。
 政府の意向に反対の姿勢さえ見せていればそれでよしとする番組制作の姿勢は、主義主張でもなんでもなく、単なる業界対策である可能性が強い。したがって、その政府反対姿勢に基づく番組内容は、薄っぺらで稚拙なものでよいのである。
 単に、「反対だ」と言っていればよい。政府に抵抗する姿勢が見えればよい。前述した「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスターが、平成二十六年(二〇一四)七月十七日放送の同番組内で、「在日コリアン一世は強制連行で苦労した」という歴史的事実に反する趣旨の発言を不用意に行った。後にNHKは、「個人的見解」として、いい加減に処理した。このような事態も、こういった背景から生じている可能性が高い。
 NHKに限ったことではないが、テレビに代表されるマスメディアにおける言論は、議論や検討に値するものではない。建設的な批判はそこには存在しない。しかしNHKは巨大な姿でそこにあり、多くの人が権威としていることは事実である。したがって、NHKは追及されなければならない。」


 南シナ海から遠くにある媚中姿勢のイギリスですら、BBCは中国の脅威を伝える独自取材を敢行した。
 翻って、わが国はどうだ。
 BBCが言う通り、「南シナ海の島に関しては、いくつかの国が中国と領有権を争っており、オーストラリア、日本、インドは、中国の動きを西太平洋を自国の管轄下に置こうとする試みだとみて、危険であると、大きな懸念を持っています。」とのことであり、わが国は中国の南シナ海における支配力強化を警戒すべき代表的な国の1つであり、政府はこういう認識で動いている。
 にもかからず、わが国の公共放送局であるNHKが中国の脅威を伝えることに消極的であり、安全保障体制の強化の障害にさえなっている。
 BBCと比較して見た時、NHKの異常さが際立つ。
 NHKがわが国の公共放送であるならば、BBC以上に中国の脅威を国民に伝え、安全保障体制強化に向けて国民の理解を高めてほしいものである。