タイドアップで素足履き | ELEMENTS OF STYLE

タイドアップで素足履き

 

昨年から始めた店舗スタッフ向けの勉強会。

 

 

 

今週3回目の勉強会を行いました。
テーマは、2016年春夏のトレンド” について。

23項目のトレンドを単純なトレンド報告というかたちではなく、様々なエピソードも含めて説明をしました。

 

今回は過去3回の中で一番質問が多く、特に若いスタッフから積極的に質問が出たので、とても充実した2時間でした。

 

その質問の中に、「スーツやジャケットでタイドアップしたしたコーディネートでも靴を素足履きしたスタイルが多く見られますが、今はそれが主流なのでしょうか」 という質問がありました。

自分のように毎シーズンPITTIに行っていれば、小さな変化も自然と目に入ってきて、すぐに目も慣れてくるのですが、現地に行ったことのないスタッフにとってみれば、そのような変化を感じるのもスナップ本やネット上の画像からだけで、それが本当に今の流れなのか半信半疑なのは仕方がないことです。

読者の皆さんの中にもショップスタッフと同じように、「そんな格好本当に流行ってるの?」 と半信半疑の方も多いのではないかと思います。

という事で、今回はタイドアップしたスタイルに素足履きというスタイルについて、少し詳しく説明したいと思います。

 

 

まず結論から言うと、タイドアップしたスタイルでもホーズやソックスを履いている人の方は少なく、素足履きが一般的になっているというのが実状です。

 

 

昨年6月のPITTI UOMOで撮った画像をお見せします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご覧のように、タイドアップしたジャケットスタイルでもレザーシューズに素足履きです。

 

それも、かなりクラシックなサルトリアスタイルでもホーズやソックスを履いていないと言うのが分かると思います。

 

 

 

スーツスタイルもこんな感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご覧のように、カジュアルなコットンスーツだけでなく、3ピースやネイビーのスーツでも素足履きです。

90年代のイタリアンクラシックブームの頃は、いかにドレスアップするかというスタイルが主流だったので、暑い6月のPITTI UOMOでもジャケットやスーツにタイドアップというのが基本でした。

当然、スーツやジャケットに素足履きなど有り得ない時代だったので、真夏でもホーズを履くと言うのが常識でした。

当時、スーツに素足履きだったのは、ニットブランド MALOのオーナーだったアルフレッド カネッサ氏とカネッサ氏にかぶれていた日本人のNさん。

二人ともフィレンツェのテーラー、リベラーノでオーダーしたスーツを着て、エレガントなイタリアンクラシックスタイルなのに、足元はエドワードグリーンやマンテラッシのドレスシューズをなぜか素足履き。

 

彼らにとってはクラシックスタイルのハズシだったのでしょうが、正直個人的には違和感があって真似する気にはなりませんでした。

2000年代に入って、ドレスクロージングのカジュアル化が年々進み、PITTI UOMOの会場でもスーツをノータイで着るスタイル(センツァ クラバッタ)やジャケットにポロシャツを合わせるようなスタイルが徐々に増えていき、それに伴って足元も軽くなっていきます。

このころから、ドライビングシューズやスニーカーを履く人たちが増えて行くのですが、それでもそれらのカジュアルな靴にさえホーズを合わせる人が、まだまだ多かったというのが当時の状況でした。

その後もカジュアル化の波は止まらず、PITTI UOMOに集まる業界人たちのスタイルもカジュアルなスタイルに傾倒していきます。

そして、2010年以降は、Tシャツやショーツという、イタリア人にとってはリゾートでしか着ないと以前は言われていたようなアイテムを着た人が急速に増えていきます。

そのような流れもあり、ここ10年くらいはレザーシューズも素足履きというスタイルが徐々に増えていき、業界人達の間では春夏の定番スタイルとなって広まっていきました。

もう一つの要因は、2000年代中ごろにブレークしたアメリカ人デザイナートムブラウンの影響もあるように思います。

短い丈のパンツにボリュームあるレザーシューズを素足履きというスタイルは、当初ナードなスタイルが嫌いなクラシック系のイタリア人達には敬遠されましたが、数年後に9分丈のパンツにトリッカーズを素足履きするスタイルが流行ったことを考えると、モード的なトレンドをゆっくり取り入れる彼らに少なからず影響を与えたことは間違いないでしょう。


昨年の6月のPITTI UOMOでは、行き過ぎたカジュアル化の反動で、エレガントなスタイルが見直されるという流れが見られました。

タイドアップする人が増え、暑い6月のPITTI UOMOでダブルのスーツや3ピースのスーツを着る人が増えたのも、その傾向を表しています。

エレガントな方向に向かっているのに、何故足元は素足履きなのか?

その理由は、おそらくパンツの丈が短いことが影響していると思われます。

パンツの丈が短いと、靴と裾の間のスペースが広くなります。そこにホーズを履いて色が入ってくると足元が重く見えます。

私自身もそうですが、カジュアルなスタイルで素足履きになれると、ホーズやソックスを履くと何故か野暮ったく感じることがあります。

特に春夏の軽快なスタイルでは、そう感じることが多いです。

彼らもおそらく、近年のカジュアル化の流れの中で、春夏ではホーズが見えるよりも足首が見える方が自然に感じるようになったのだと思います。

事実、私よりも上の世代の人たちは暑い時期でもホーズを履いている人が多く、その世代の人たちのパンツの丈も長めです。

そして、1月のPITTI UOMOでも素足履きの人を結構見かけるのも、そのような傾向による影響なのではないかと思います。

 

 

とは言っても、「スーツに素足履きで会社なんか行けないよ」 と言う方が大半だと思います。

そうなんです。イタリアでも普通の会社員で素足履きの人なんかいません。(笑)

これは、あくまでファッション業界人達の間で一般的になっているだけで、ビジネスでスーツを着る人には無理があると思います。

「ここまで書いてそのオチは無いだろ」と思われるでしょうが、特に6月のPITTI UOMOで見られるようなスタイルは、タイドアップしていたとしても日本のビジネスシーンにそのまま取り入れるのは難しいのは私も理解しています。

では、どうやって取り入れるかと言うと、日本ではここ数年クールビズでGW明け以降はカジュアルスタイルが許される方も多いと思いますが、服装の自由度が増すその時期に敢えてタイドアップしたジャケットスタイルやスーツスタイルをして、素足履きをしてみてはいかがでしょうか。

因みに、私もジャケットやスーツスタイルに素足履きはしますが、自分自身のルールとして素足履きはGW明け以降と決めています。

それは、いくら素足履きが流行っているからと言っても、肌寒い時期に素足履きは個人的になんとなくミスマッチな感じがするからです。

でも、それもあくまでも個人的な考えです。 ここ数年は、通年素足履きという人も多いので、スタイルの多様化は否定できません。

今後はスタイルの多様化はもっと進むと思うので、軸はぶらさず、時代性を取り入れていくのは今以上に重要になっていくのではないかと思っています。

次のバイイングが終盤にさしかかり、そんなことを考える今日この頃です。

 

 

 

 

 

 

 

久々にデニムを購入しました。

 

 

SIVIGLIAのリジッドデニム。

http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=9347195

 


今シーズンはアメリカっぽいデニムが気分です。

 

 

 

生地感もオレンジのステッチもアメリカっぽくていいです。

イタリアブランドのデニムもアメリカっぽさが求められる。

そんな傾向のような気がします。