11月15日(日)は、大阪・ABCホールさんにて上演された、STRAYDOG Produce公演『心は孤独なアトム』のマチネ大阪星組千穐楽公演とソワレ大阪宙組大千穐楽公演を観劇。

 

 東京公演の舞台『心は孤独なアトム』が、大変素晴らしかったので、いてもたっても居られず大阪までリピートしてしまったのです。

 本公演では、約2時間の中で、劇中歌が全7曲。
 物語の流れに上手に曲を乗せており、ミュージカルの舞台と言っても過言ではありません。
 お馴染みのアトムのテーマソングも良いですが、ラストのタップダンスでの曲が大好きで、想わず口ずさんでしまいます。
 素敵な曲ばかりですので、ミュージカル舞台のパンフレットやキャラメルボックスさんの公演のように、劇中使用曲名を教えてほしいな、と想ってしまいます。

 12時からのマチネ公演は、“ともにゃん”こと森岡朋奈さんが主演のアヤコを演じられる大阪星組から。

 

  “大阪星組”と書いたのは、一部、東京とキャストが異なっているからです。

 ロビーに入ってまず感じたのが、劇場の雰囲気づくりが、東京より凝っているなぁ…という印象です。
 アトムの人形が置かれていたり、いつものステキなポップ飾りに、より気合いが入っています。


 
 舞台上の小学校の児童役の皆さんも、手塚治虫さんのキャラクターたちの格好に扮していて楽しいです。(これは東京もそうだったかな?)

 舞台上のやり取りも、お笑いの街・大阪らしくよりパワフルになっており、ひと言でいうと“元気”です。

 ルリコ先生役の荻野菜穂さんが児童たちとバトルするシーンやウラン役の春川芽生さんがアトムに突き飛ばされた際に側転してみせたりと動きも激しいです。

 宙組のつむつむさんも混じった、東京公演でもお馴染み、3人による前説も、コントの絡み度合いがパワーアップしており、本編が始まる前から大笑いです。

 地域柄の違いで、観客のリアクションや笑いが起こるシーンが、東京公演と異なるのも、また新鮮な体感です。
 観客は、作品を完成させる最後のワンピース。
 同じ舞台でも、箱の雰囲気や客層で、また別の舞台に生まれ変わるのが、生きた舞台の面白さのひとつですね。

 大阪では、お爺ちゃんになったアトム&刑事役の中原和宏さんのコミカルな動作が、かなりウケていました。

 また、EXILEを模したシーンが、東京とは、異なる演出になっていました。

 ウラン(春川芽生さん)が、アトム爺ちゃん(中原和宏さん)の乳首をいじるシーンは、自分的には大爆笑でした。

 大阪星組の原子役には、小泉萌香さん。
 小泉さん演じる原子の表情が、自分にスポットライトが当たっていない場面でも、とても豊かに表現されており素晴らしい!
 歌も、ミュージカルを観劇しているかのようなクウォリティで、遠くを見つめ瞳に涙を輝らせながら歌うシーンは、巧い以上に、小泉さんの気持ちが、しっかりと乗っており、感動を誘います。
 ぜひ、またどこかの舞台で再会したいと想わせる、ステキなお芝居でした☆

 モンローに扮したダンスシーンでは、サファイア役の小山未結さんが、モンローの色っぽさが出ており、良かったです。
 先日、赤坂で『リボンの騎士』を観てきたばかりなのも、面白い繋がりでした。

 また、陽子役の糸原美波さんのお芝居は、想いがストレートに伝わって来る表現力とセリフの力で、胸に届きました。

 ともにゃん(森岡朋奈さん)は、とにかく表現力が素晴らしい!
 足先まで意識したダンスは美しく、「人はいつか必ず巡り巡って、出逢える時がある。」とトシオ(川本淳市さん)に伝えるシーンには、自然と涙が溢れて来ます。

 

 ともにゃんに答えを当てさせる、沢井役の渡辺健太さんの劇中モノマネは、いつもアドリブのようですが、今回は、“さかなくん”と地元・吉本新喜劇さんの“しげぞー爺さん”でした。
 さかなくんは、「ぎょぎょっ」が簡単すぎて、ともにゃんもあっさり正解されていました。
 舞台上では、繰り出されるアドリブに、常に笑いを堪えているともにゃん。実は笑い上戸?

 舞台転換する黒子の組が、ライトの当たらない中で、ちょいちょい小芝居をしているのが、実は面白かったです。

 

 続いて、16時からは、『心は孤独なアトム』大阪宙組の大千穐楽公演を観劇。

 大阪宙組では、原子役に自分が応援している中島舞香さん。

 体型的に、アニメの世界から、そのまま鉄腕アトムが飛び出して来たかのようで、4人のアトム(原子)のなかで、一番イメージに似合っているかもしれません。
 等身大で一番親しみのある鉄腕アトムだったかな。

 

 大阪星組の小泉萌香さんが、「ガリガリ」とイジメられていたのですが、舞香さんは、「ぷくぷくプー」とイジメのセリフが変えられていたのが、面白かったです。
 今回も、もちろん“くまのプーさん”ネタは、バッチリありました(笑)

 パンがなかなか飲み込めなくて、次のセリフを前に慌てている舞香さんの姿はご愛敬でしたが、「死に損ない!」と言われたときの怒りにあふれた眼光鋭い表情やツトムに「ありがとう」と伝えるシーンでの穏やかな優しい表情、信頼していたツトムから「クサイ」と言われたときの怒り&悲しみ&驚きなどが入り混じったアンニュイな表情などは素晴らしく、また、ちょいちょい挟まれる舞香さんらしいアドリブが元気印満点でした。

 そして、原子と言えば、歌のパート。
 想像以上に、舞香さんの歌が巧くて、驚きました。(ごめんなさい。)

 舞香さんの歌唱力は、美しいというよりも、身体全体を使って歌い上げる力強さに、低くハスキーな歌声とともに、歌に乗せた気持ちが、ズシッと心に伝わって来る、感動的なものでした。

 ラストの舞香さんの歌と全員でのタップダンスのシーンでは、応援してきた舞香さんがステージの中央に立っている嬉しさや川本淳市さんの魂のこもったタップダンスもあり、あふれ出る涙を止めることが出来ず、顔をクシャクシャにして大号泣でした。

 悲しいお話しではないラストシーンで、こんなに泣いた舞台は、はじめての体験です。
 舞香さんの劇中の歌唱シーンでは、自分の隣席の方も、涙をぬぐわれていました。

 そして、東京から引き続き、ウランを演じられるつむつむさん(円谷優希さん)。
 いつもながら、ダンスは、とってもしなやかであり美しいです。
 感情の起伏が激しい役どころでしたが、東京公演にも増して、感情表現のメリハリに鋭さが増し、上がっている印象を受けました。
 ダンスのときの表情も良いですね。

 同じく東京公演から引き続き千代子役の伊丹愛莉さんは、声が綺麗な女優さん。
 詩の朗読のシーンでは、ツトム(青年)役の武藤賢人さんらとのハーモニーが、心に響きます。

 家政婦のマリ役の七海ななさんは、メイド服が似合います。
 自分のことを「あちき」と呼ぶ、元気いっぱいな家政婦がチャーミングでした。

 

 開演前&終演後のロビーでは、公演していない組の皆さんが、スタッフとして働いているのですが、皆さんが声を枯らしているほど、キャスト陣が全身全霊で挑んだ舞台『心は孤独なアトム』。

 イジメ&戦争&明るい未来&伝えることの大切さ…
 「いまの苦しみは、永遠のものではない。いつかきっと解決する。どんなに辛い目にあっても、あなたには耐えられるだけの力がある。」や「世界中の人たちが、いつか訪れる平和を待っている。」など、森岡利行監督の想いやステキな台詞がたくさん詰められた、素晴らしい作品です。

 マチネ公演でのダブルカーテンコールで、主演の森岡朋奈さんがお話しをされていたように、これからもずっと心に留まる『心は孤独なアトム』となりました。

 スタッフ&キャストの皆さん、明日への希望と元気のプレゼントを、ありがとうございました!

 

【追伸】
 15日(日)は、エリザベス女王杯(G1)に出走したMy出資馬リラヴァティ号の応援馬券&出走記念グッズ購入のため、現地・京都競馬場に立ち寄った後、大阪へと向かいました。

 

 リラヴァティ号は18番人気ながらも9着。
 一所懸命な走りでレースを引っ張り、最後まで良く頑張ってくれました。感謝!

 【追伸~その2】
 阿藤快さんの訃報に接し、つい先日の10月9日に福元警察署長役でご出演されていた舞台『MOTHER~特攻隊の母、島濱トメ物語』終演後のロビーで、固い握手を交わさせていただいたばかり。
 その際のあたたかな笑顔が忘れられず、また映画『シネマの天使』での映写技師役など、味のあるステキな俳優さんで、急逝がただただ残念でなりません。
 阿藤快さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

(りょう)