泥棒成金(DVD)ヒッチコック25 | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

泥棒成金(DVD)

1955年作品/アメリカ/106分
監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ケーリー・ゲラント、グレース・ケリー

11月16日(土)の夜、自宅でDVDを鑑賞しました。

屋根を飛び回る姿から「猫(キャット)」と呼ばれた宝石泥棒のジョン・ロビーは、今は足を洗い、仮釈放の身で自由気ままに暮らしていた。しかし、ある時、リゾート地の高級ホテルから次々に宝石が盗まれる事件が発生する。その手口がかつてのロビーのそれと同じことから、警察はすぐさまロビーを捕らえようとするが、身に覚えのないロビーは警察の手を逃れ、独自に調査を開始する。自分の偽物が狙いそうな高価な宝石をもった金持ちの旅行客に近づき、犯人を捕らえようと考えたロビーは、保険会社のヒューソンの協力を得て、アメリカ人女性のジェシーとその娘で若く美しいフランセスの2人に近づく。しかし、ロビーとヒューソンが目を光らせていたにもかかわらず、母娘の宝石が盗まれてしまい(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

今日は土曜日ですが朝から夕方まで仕事があったため映画館には行けず。帰宅してから自宅でDVDを観ることに。気軽に観られるものがいいので、滞っているヒッチコック映画の再鑑賞をすることに。「泥棒成金」はVHSのビデオテープで持っているのですが、これは残念ながら映画館で観たことがないんですよね。

ケーリー・グラントとグレース・ケリーのロマンチックコメディ

ケーリー・グラントはヒッチコックがイギリスからアメリカに渡ってすぐに使った男優さんですよね。「断崖(41)」でジョーン・フォンテインと、「汚名(46)」ではイングリッド・バーグマンと共演していています。そして本作でグレース・ケリーと共演するのですが、彼の飄々とした本来の良さが出ていてこの映画にピッタリ。

この「泥棒成金」はスリルとかサスペンスとか、ヒッチコックが代名詞になるような要素というのは最後にちょっとあるくらいで、〝ハラハラドキドキ〟を求めて観るとたぶん拍子抜けします。これは軽妙なケーリー・グラントと少しオテンバなグレース・ケリーの息のあったやり取りを楽しめるロマンチックコメディなのですね。

アメリカからやってきた石油成金の母娘。この母親ジェシーがまず最高に可笑しいのですが、よく観てると娘のフランシーも負けず劣らずなかなかのやり手。宝石泥棒のロビーに最初にキスするシーンは、百戦錬磨の彼もタジタジという感じで爆笑。また、そこから後は、急に前作「裏窓」にも通じる活発さを見せ出して可愛いんです。

▼この後、大胆にも自らロビーにキスをするフランセス

ビスタヴィジョン画面が美しい観光映画

ヒッチコックの映画を製作順に観ていくと、「泥棒成金」は、「私は告白する」という暗い心理ドラマと「ダイヤルMを廻せ!」「裏窓」という限られた室内空間ドラマに続くものになっています。それで本作のロケを中心にした開放感のある明るい作風が、何だかヒッチコックがいっきにはじけた!という感じがあるのですよね。

ワーナーブラザーズで「ダイヤルMを廻せ!」、ユニバーサルで「裏窓」を作ったヒッチコックは、パラマウントピクチャーズで「泥棒成金」を撮ります。しかも、画面サイズがビスタビジョンという横長ワイドサイズ。これは20世紀フォックスのシネマスコープに対抗して開発されたものらしいです。画質が綺麗な大画面!(のはず)

南フランスのリヴィエラの高級リゾート地を、地中海に面した風光明媚なコート・ダジュールを、これでもかというくらい綺麗に映し出します。当時は珍しかろうヘリコプターによる空撮も息を飲みます。撮影監督のロバート・バークスは、これでアカデミー賞撮影賞を受賞しています。だから、余計にこれは映画館で観たかった!

▼ここに来るまでのカーチェイスも見どころのひとつ

ヒッチコック、涙。グレース・ケリーはモナコ公妃に

過去2作と同じくこの「泥棒成金」でも、グレース・ケリーが衣装を取っ替え引っ換えして画面に現れます。もう、どの衣装も見事にハマっていて、ボーっと見惚れてしまいます。目の覚めるような青い色のドレスや、カジュアル感のあるピンクのワンピースに白のグローブ、そして純白のドレスにダイヤモンドの首飾りなどなど。

グレース・ケリーはその後、モナコ大公レーニエ3世に見染められて結婚、お姫様に。「上流社会(56)」が最後の出演作になりますが、ヒッチコックはさぞかし寂しかったんじゃないでしょうかねー。「北北西に進路を取れ」は、グレース・ケリーで撮りたかったという話を聞いたことがありますし、観てみたかったですね、

というか、彼女は惜しくも1982年に自動車事故で亡くなってしまうわけで、そういうこともあってか今や伝説的な女優なのですよね。自動車事故のあった場所が「泥棒成金」で彼女が自動車を走らせた場所の近くだったと聞きますと、その場面が出てくると本作の内容とは全く関係のないところで胸に迫るものがあります。

▼激しい花火とキスシーンとのカットバックが見事でした

本当に久しぶりで「泥棒成金」を観たのですが、昔観たときは正直なところ〝物足りなかった〟のです。それが今回は、ずっと面白かったです。真犯人も忘れてしまっていましたよ。VHSビデオテープだと画面サイズも小さく、クオリティも悪かったのではないかと思います。なんだかBDも欲しくなってきました。


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