文楽は大阪弁で作られたお芝居。じゃあ江戸のお芝居はないの?? | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫



〜本日のお品書き〜
上方
かみがた
芸能だけれど、江戸のお芝居。












文楽は上方
かみがた
芸能です。

つまり、関西で生まれ育った芸能です。



なので必然的に上演している演目の言葉も上方
かみがた
の言葉になっています。





ほとんどは。








有名なお七




題材が江戸のものというのはもちろん存在します。



たとえば、「お七」で有名な「伊達娘恋緋鹿子」は
江戸で実際に起こった事件を題材にしています。




お七が火の見櫓に登って、太鼓を叩いたのです。


上方
かみがた
の人には太鼓の馴染みがなかったので、半鐘になりました。






そして、今月上演している

明烏六花曙
あけがらすゆきのあけぼの




このお芝居は江戸からきている人形浄瑠璃の演目です。




Point


上方
かみがた
の芸能だけれど、江戸が題材のものもある!!









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江戸のお芝居



さて、この明烏六花曙が作られたのは幕末だということで、明治になる直前だったそうです。


当時、江戸では新内節が大流行していました。



その流れを汲んで、新内節のにおいのする演目が作られたのです。




新内節の明烏をもとに作られたのがこのお芝居でした。




文楽でほとんどめったに使われない花魁という言葉が登場しますし、花魁の髪の飾りや格好なども阿古屋などとは違います。



上方
かみがた
と江戸では遊郭の文化や衣装もかなり違い、その違いが楽しめる珍しい演目です。



また、作中に登場する手代の彦六は江戸のべらんめえ口調で語るという、相当珍しい浄瑠璃です。




あとは東海道中膝栗毛なども江戸の言葉を使って語ります。




このように、とても数は少ないですが、江戸の言葉での義太夫節も全くないわけではないのです。





Point


どちらにしても相当珍しい。









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そんな珍しい演目が今月上演されていて、わりと上演頻度が高いわけではないので、ぜひご覧いただきたいお芝居でございます。




文楽初春公演は1月26にちまで。



皆さまのお越しをお待ちいたしております。












とよたけ・さきじゅだゆう
:人形浄瑠璃文楽
ぶんらく
太夫

国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
ぶんらく
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中