第4720回「TRICKトリック、第3シーズン、第3話、絶対死なない老人ホーム、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第4720回「TRICKトリック、第3シーズン、第3話、絶対死なない老人ホーム、ネタバレ」

 第4720回は、「TRICKトリック、第3シーズン、第3話、絶対死なない老人ホーム、ネタバレ」です。ドラマの冒頭、「絶対死なない老人ホーム」とは、相続税対策であることが暗示されています。


 今回の依頼者は、京國屋書店の社長夫人です。一族の資産を握っている老人が、近々なくなるのではないかと言われています。そこで、「絶対死なない老人ホーム」に入れたいが、その真偽を調べてほしいというのが依頼内容です。老人ホームへの入居一時金は10億円と高額です・・・・。


 調査に対する成功報酬としては、京國屋書店で最も目立つ箇所で、「上田教授(阿部寛さん)フェア」を大々的に行うというのです。もちろん、上田は、その気になります。早速、山田奈緒子(仲間由紀恵さん)を誘い、「魯人老人ホーム」に出向きます。


 奈緒子に対応したのは、赤いジャケットを着た副理事長の千田(浅野和之さん)でした。当然、魯人老人ホームの理事長は、千田の上を行く万田(近藤芳正さん)です。そして、最も注目すべき人物が、専任カウンセラーの赤地(高嶋政伸さん)です。


 副理事長の千田は、意外にも早々に、老人ホームの秘密を話します。「この施設は、絶対死なない老人ホームと言われているが、正確には、赤地先生が死者を蘇らせているから、入居者が死なないのだ」と高飛車に語ります・・・・。


 もちろん、上田と奈緒子が納得できるわけがありません。赤地は、切ったロープを元に戻しますが、奈緒子はトリックを簡単に見破ります。その思いは態度に現われます。副理事長は、思い切った行動に出ます。奈緒子を猟銃で撃ち殺し、赤地先生に蘇らせてもらうというのです。


 もちろん、奈緒子がそんな申し出を受ける訳がありません。志願したのは、過去に赤地に助けられたことのある古川(横山あきおさん)でした。年老いてなおスケベであり、童謡「ふるさと」が大好きな老人です(大きな伏線)。赤地は、猟銃で撃たれた古川を蘇生させます。


 勢いに乗った理事長の万田は、副理事長も自分で自分を撃つように指示します。赤地先生が蘇生させてくれるから大丈夫だと・・・・。ですが、奈緒子たちが救急車を呼んだのです。赤地は、自分に助けさせてくれと頼みますが・・・・。副理事長の千田は、病院で亡くなります。


 「おまえ達が、千田副理事長を殺した」と、老人たちに上田と奈緒子は詰め寄られます。奈緒子にも反論があります。「赤地先生が死者を蘇らせられるのなら、今からでも遅くないから、千田さんを生き返らせることができるはず」


 奈緒子の反論に、赤地が動きます。おてもやんの大きな坐像を破壊しつくし、それを復元すると言い出したのです。上田と奈緒子に、納得がいくまでハンマーで壊させます。さらに、赤地はハンマーをふるい、粉々にします・・・・。


 壊しつくしたおてもやん像を、4枚のきらびやかな板で囲います。「戻~れ!」、赤地は呪文を唱えます。囲っていた板を取り払うとと、おてもやんが、復元されていました・・・・。赤地はいかなるトリックを使ったのでしょうか、それとも、本当に死者とか壊れたものを元に戻す能力があるのでしょうか。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 おてもやんトリックは、意外なところから解明されました。山田奈緒子が、上田のズボンについていた“おてもやん”の断片に気付いたのです。ですが、坐像は完全に復元されていました。新たな像が持ち込まれたことを意味します。


 奈緒子は、像の断片を口に入れます。食べられるのです。4枚の板が運ばれてきた時に、多数の老人たちが後に隠れていました。多数の老人は、粉々になった坐像を食べつくします(食べやすいように、赤地はさらに砕いたのです)。


 老人たちは、坐像のパートを持ち込んでいました。一挙に組み立てます・・・・。上田と奈緒子は、面会時間にも注目します。午後2時から4時までのたった2時間だったのです。新たな推理を組み立てます。解決の糸口は、古川老人にありました。


 古川老人は、童謡“ふるさと”が好きでした。彼は、老人ホームでは、「兎追いし 彼(か)の山 小鮒釣りし 彼の川・・・・ 」と普通に歌っていました。ですが、上田が家族からもらってきた写真には、古川のバックに額縁が掛けられていました。「兎食いし 彼の山・・・・」と書かれていました。


 本物の古川老人は、間違った記憶に基づいて、歌っていました・・・・。わずか2時間の面会時間も、すべての入居者が替え玉だったからです。万田理事長は、上田たちの推理を否定しますが、赤地は、「もうやめましょう。私に、死者を蘇らせる力などありません」と観念します。


 アルバイトの老人たちは、「楽しかった、じゃあ」と言って帰っていきます。納得できなかったのは、赤地の実の父親(下川辰平さん)でした。海難事故の際、息子に助けられたと考えていたのです。ですが、既に死亡保険金を手に入れた赤地が、父親の記憶喪失を利用しただけでした。


 赤地は、その事実を父親に伝えますが、父親は息子の能力を実証しようと、自らを撃ちます。「おまえには能力がある」、悲しいエンディングです。


(蛇足) 魯人老人ホームは、つぶれかけ寸前でした。また、理事長は、起死回生策として、赤地を利用したのです。赤地としても、十分メリットがあったのです・・・・。一方、副理事長の千田殺しのトリックは、一発目は空砲でした。そのため、古川老人は傷ついていません。第二発は実包でした。金に汚く目障りになってきた千田を殺すべく企んだ理事長の陰謀でした。