どうもぱちんこ特許チャンネルです。
以前お話したかどうか忘れましたが、ゲーム業界はパチンコ業界と技術的に共通する部分(表示手段の制御方法や遊技者の興趣を高める方法など)も多いため、ゲーム業界の特許は定期的にチェックするようにしています。
今日は、そんな中で見つけたわかりやすくて面白そうな特許を皆さんにご紹介します。
…とその前に、皆さんはスマホでゲームってやっていますか?
私はと言うと、ガラケー時代は「怪盗ロワイヤル」を、スマホにしてからは「バイオハザード」や「パズドラ」などをやっていましたが、今は特にやっていません。話題の「ポケモンGO」や「ドラクエウォーク」も少しやってみたもののすぐにやめてしまいました。(運動不足感が否めない…)
怪盗ロワイヤルは無課金でせっせとやっていましたが、パズドラはパチンコで勝ったら課金してゴッドフェス(ガチャ)を回していましたね。
昔はガチャキャラの排出確率はブラックボックスでしたが、数年前からガチャの排出確率をしっかりと表示するようになり、0.1%とか0.5%といった数字を見てとても出せる気がしなくなってやめてしまいました
今日ご紹介するのはまさにこの「ガチャ」に関する特許です。
特許権者(特許権の保有者)は皆さんご存じスクウェア・エニックスさん(以下、スクエニ)。
改めて説明するまでもなく「ドラクエシリーズ」や「FFシリーズ」といったビッグコンテンツを抱える企業で、もちろんスマホゲームも数多く配信されています。
では、特許内容を詳しく見ていきましょう。
【特許番号】特許第6692885号
【特許権者】株式会社スクウェア・エニックス
【出願日】平成30年12月27日(2018.12.27) ※約1年半前
【登録日】令和2年4月17日(2020.4.17) ※先月
【発行日】令和2年5月13日(2020.5.13) ※先週
【課題】
ゲームへの関心の低下を防止するゲームシステム及び方法の提供。
【解決手段】※わかりやすいように文言や表現を変更しています
①:携帯端末を用いてゲームを進行させるゲームプログラム
②:ユーザーのプレイ状況に基づいて、ゲームを進める上で有利なキャラクタを判定する
③:②の判定結果を参照し、このユーザーが必要とするキャラクタが出やすいガチャテーブルを選択する
④:③で選択されたテーブルの中から抽出されたキャラクタをユーザーに付与する
(↓は読まなくてもいいですが、一応これが特許範囲の原文ママなので参考までに)
【請求項1】
ユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御する機能をサーバに実現させるためのゲームプログラムであって、
前記サーバに、
前記ユーザの操作に基づいて複数のゲーム内要素から少なくとも1つのゲーム内要素を抽出する抽出機能と、
該抽出機能により抽出したゲーム内要素を前記ユーザに付与する付与機能と、
該付与機能により付与したゲーム内要素を制御してユーザをゲーム課題に挑戦させ、ゲーム課題をクリアしたクリア回数及び敗北した非クリア回数を記憶する課題挑戦機能と、
を実現させ、
前記抽出機能では、前記課題挑戦機能により記憶したゲーム課題に対する非クリア回数または非クリア回数およびクリア回数の比に関する情報に基づき、敗北したゲーム課題に出現したゲーム内要素の特性に対して有利なゲーム内要素の排出率および/または敗北したゲーム課題に出現したゲーム内要素の特殊スキルに対して有利な特殊スキルを有したゲーム内要素の排出率を高く設定する機能を、
実現させるためのゲームプログラム。
【解 説】
まず、この特許の舞台(実施例)となるのは、有料ガチャや無料ガチャによって所定のキャラクタが排出される一般的なスマホゲームです。
(参考図)
所定のキャラクタはそれぞれ「属性」や「特殊スキル」を持っています。
(参考図)
ゲームのサーバーにはプレイヤーごとの基本情報、所持キャラクタ、ダンジョン別勝敗データなどが記憶されています。データの引き継ぎなどにも必要ですからね。
(参考図)
これらの情報に基づき、↓のフローに沿って「特別ガチャ選択テーブル」を決定します。
めちゃくちゃ簡単に言うと、
「火属性の敵キャラがたくさん出てくるダンジョンをクリアしたいけど、手持ちキャラの中に水属性の強キャラが少ないからクリアできない!!!」という人のために、
ダンジョンクリア回数(または負け回数)や手持ちキャラを参照してゲーム側がプレイヤーの気持ちを察してあげて、「特別ガチャ」を引いたときに「水属性が出やすいテーブル」を自動で選択してあげる、という特許です。(多分)
なるほど、開発者の優しさがにじみ出た良い特許ですね
・・・と、ここまででスクエニの話は終わりで、ここからは単なる個人的感想です。スクエニさんは全く関係ありません。(予防線完璧)
この特許を見て思ったのは、
「それが出来るんだったら、この人が水属性キャラをとても欲しがっていることは把握可能だし、課金情報まで掛け合わせたら『出るまで回す人』ということも把握可・・・以下ry」
ということです。
「100万ペリカ使っても出ないなー。倍プッシュするかー」
ただ、特許出願をすると必ずそれを自社製品で実施しているかのように受け止める人が多いですが、それは誤解です。
実際には自社製品ではやっていない内容(こういう事も技術的には可能だなあ、くらいの感じ)であったり、悪意のある第三者に権利化されないように防衛目的で出願することもよくあります。
なので、パッと見でプレイヤー側に不利となる内容の特許であったとしても、「こんな特許取ってけしからん!」とか「この特許を悪用すればめちゃくちゃ課金させることができるじゃん!」と一方的に決めつけて反応するのはやめましょう。
平和もホールコンの出願で色々叩かれたこともありましたからね・・・。そんなこと実際にはやっていなかったのに。
今日はここまで。
それではまた。