ミステリーハンターのような佇まいで、インドからお届けしております。
今日の記事はオンラインサロンに投稿しようかとも思ったのですが、世間で共有しておいた方が良さそうなので、コチラに投げます。


前澤ファンド

インドにいても、元ZOZOの前澤さんのニュースがタイムラインに流れてきます。
漫画の登場人物みたいで面白い人だなぁと、遠目から見ています。

その前澤さんが、『前澤ファンド』と称して、一般公募で集めた10人の起業家に10億円出資することを発表されました。
ビジネスアイデアのプレゼンには10万円の審査量が必要なのだそうです。
エントリーフィーのようなものですね。


これを受けて、「金を貰える上に、起業アイデアを貰えるし、前澤にとって、いいことだらけじゃねぇか!」
とツイートしている方がいましたが、まったく的外れな意見だと思います。

こんなことを言うとアレですが、プレゼンされるビジネスアイデアって、ほぼ使い物にならないです。

僕もよくアイデアをプレゼンされるのですが、肌感でいうと、
80%のアイデアが「すでに世の中にあるもの」で、
残り20%のアイデアが「新しいけど、別に要らないもの」です。


アイデアを考えた人は自分の力で『答え』に辿りついたので、「このアイデアはイケる!」と思ってしまうのですが、同じ時代に生きて、同じような環境に暮らし、同じような情報を食べている人間の思考に、それほどの差異はなく、「自分一人で導き出した答えが1万人とかぶっている」ことなんてザラにありまくります。


「クリエイターを支援する、まったく新しい形の場を作りたい!」
「まったく新しい形の○○のサブスクモデルを作りたい!」
というアイデアは、それぞれ今日もこの国のどこかでプレゼンされています。とほほ。。


今回、前澤さんのもとに集まるビジネスアイデアは、ほとんど同じようなアイデアだと予想されます。
前澤さんは、その瓦礫をかきわけて、使い物になるビジネスアイデアを掘り起こさなきゃいけないので、それはそれは大変な労力です。
しかも、今回は一人一人に返信していかれるのだとか(※これ、ほんと大変)。

イケてる起業家10人からビジネスアイデアを募集すれば、使えそうなのが2~3個出てきそうですが、
一般から募集するとなると、応募者が1000人いたとしても、「これは10億円出資するに値する!」と思えるアイデアは、ほぼ1つも無いと思います。

「該当者無し」となる可能性が多分にあります。


「該当者無し」の場合はどうするの?

今回の企画が、そこそこ危険なのは、「該当者無し」となった場合の、世間の気持ちの行方です。

「該当者無し」という結論に至るまでには、前澤さんや、スタッフの皆様の時給が発生しているのですが、世間は、そこで発生している手間賃(およびコンサル費)を汲み取らず、

「1000人から10万円(合計1億円)を集めて、結局、どこにも出資しないだと!? ふざけるな! 前澤、丸儲けじゃないか!」

という怒りの声をあげるでしょう。
前澤さんのコンサル費(審査料)が発生しているので、理屈で言うと世間が圧倒的に間違っていますが、「感情」と「アンチの声」が理屈を殺します。

今回の企画は「いや、自分のお金だし」という言い分が通用しない領域です。

 
詐欺師のレッテルを貼られたり、世の中から恨みを買うことが前澤さんにとって最大の損失なので、ここをふせぐ為に「おそらく使い物にならないアイデア」に10億円を(しぶしぶ)出さなくちゃいけなくなります。

ちなみに、公益社団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が多額の税金を使って(恨みを買わないように)一般公募(2042件)の中から選んだ東京五輪のマスコットキャラがコチラ。



……う、うん。。


しぶしぶ10億円を出そうが、そのアイデアがそのままの使い物にならなかったら、前澤ブランドは失落します。

その展開だけは何としてでも避けたいので、「一般公募の中に、事前に手を握っておいた起業家をシレ~っと参加させておく」という手があります。
が、今回の場合は、選ばれた人の身体検査をネット民が躍起になってやるでしょうから、そこで前澤さんとの関係性が見つかれば一発アウト。
ネット民は「10万円をとった参加者をコマーシャルに使いやがって!」と、徹底的に叩き始めるでしょう。 

唯一残された手としては「本気の人だけ集めたかったんで、審査料の10万円は返しま~す」だと思いますが、おそらく、その手は世間に読まれているので、サプライズとして機能しません。


整理します。

・実際問題「該当者無し」の可能性が高いのに、「該当者無し」という決定が出せない。
・しぶしぶ出した「該当者」の、その後の責任をとらなくちゃいけない。
・事前に、優秀な起業家と手を握っておいて、一般公募に参加してもらうことはできない。


たくさんの人がお祭りとして面白がっている今回の企画ですが、「今回ばっかりは、結構、ヤバめの勝負に出たなぁ」というのが僕の見立てです。
僕が前澤さんのブレーンだったら、「恨みを買わないやり方で、もっと面白いことをしましょう」と1秒で止めています。

今回の企画、どうなるんだろうなぁ?

こういう話をすると、「それなら、○◯にお金を使うべきだー!」という方が必ず出てくるのですが、他人のお金の使い方に口を挟むほど下品なことはありません。
今回は、「前澤さんのお金でやっているのにも関わらず、世間は理屈ではなく、感情で判断をするけど、大丈夫かなぁ」というだけの話です。

くれぐれも言っておきますが、「面白いことをしようよ」と声をかけてくださる前澤さんは最高だし(ホント最高。なかなかいないよ、こんな人)、今回の企画に全力で乗っかる人達も最高だと思っています。

なので、どうか、上手くいって欲しいです。




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【西野亮廣 出演情報】

ニッポン放送開局65周年記念公演
 
◆原案:「たけしの挑戦状」
(C)TAITO CORPORATION/ビートたけし 1986 ALL RIGHTS RESERVED

◆脚本・演出:上田 誠(ヨーロッパ企画)

◆キャスト:西野亮廣 戸塚純貴 鈴木絢音(乃木坂46) 今井隆文
石田剛太(ヨーロッパ企画) 諏訪 雅(ヨーロッパ企画) 土佐和成(ヨーロッパ企画)
町田マリー 市川しんぺー 小島 聖
 
◆公演日程・会場:
<東京公演> 2020年4月9日(木)~4月19日(日) 紀伊國屋ホール
<名古屋公演> 2020年4月22日(水) 名古屋市青少年文化センター アートピア
<高知公演> 2020年4月25日(土) 高知県立県民文化ホール オレンジホール
<広島公演> 2020年4月28日(火) JMSアステールプラザ 大ホール
<大阪公演> 2020年5月2日(土) ~5月3日(日・祝) サンケイホールブリーゼ
 
◆料金:
【東京公演】一般8,500円(全席指定・税込)
【名古屋公演】一般8,500円(全席指定・税込)
【高知公演】一般7,800円 学生シート4,000円(全席指定・税込)
【広島公演】一般8,000円 学生シート5,000円(全席指定・税込)
【大阪公演】一般8,500円(全席指定・税込)
 
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