自分は光をにぎっている
テーマ: 光の詩自分は光をにぎっている
いまもいまとてにぎっている
而(しか)もをりをりは考へる
此の掌(てのひら)をあけてみたら
からっぽではあるまいか
からっぽであったらどうしよう
けれど自分はにぎっている
いよいよしっかり握るのだ
あんな烈しい暴風(あらし)の中で
掴んだひかりだ
はなすものか
どんなことがあっても
おゝ石になれ、拳
此の生きのくるしみ
くるしければくるしいほど
自分は光をにぎりしめる
山村暮鳥「自分は光をにぎつている」
「山村暮鳥詩集」所収
この手の中、光あると信じて握りしめ決して開きはしない。
種明かしのときなんて、いらない。
確かめないで言い聞かせる。
・・・わたしは光をにぎっている・・?
山村暮鳥 やまむらぼちょう
詩人、聖職者。
大正13年、肺結核のため亡くなる。享年40歳。
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