1954年制作 フランス映画


アンリ・ヴェルヌイユ監督


キャスト

カトリーヌ:フランソワーズ・アルヌール

ピエール:ダニエル・ジェラン


ルイス警部:トレバー・ハワード

歌手アマリア:アマリア・ロドリゲス(本人)


マヌエル少年:ジャック・ムウリエール



この映画も大昔に観て、ストーリーは、悲恋の

ラブストーリーだった記憶しかないんですが、


主題歌のポルトガル民謡ファドの"暗いはしけ”

と言う切々と哀愁のある歌が凄く流行って


映画を観る前にこの歌だけは忘れずに

よく覚えてました。


お話しは第二次世界大戦が終わって

パリが解放されて、人々が大喜びの中、



ピエールは妻の待つアパートに帰り、

持っていた鍵でドアを開けるとそこには


妻が男とベッドに居て嬌声をあげて楽しんでいた。





ピエールはカッとなり妻を銃殺してしまい、



裁判にかけられたが弁護士の「ピエールは

昨日までは、兵士で妻の浮気相手を敵の兵士と


思って撃ってしまったのだ」と言う屁理屈な弁護と

陪審員の情状酌量で無罪になる。


しかし、根が真面目なピエールは妻殺しが捻じ曲げられて

正当な裁判を受けられなかった事に失望し苛立った。


ピエールは、いつか南米に行きたいと思いながら

パリを離れポルトガルのリスボンに居ついて


タクシーの運転手として働いていた。


一方、カトリーヌは、パリで香水の売り子をしている

時に英国富豪の貴族に見初められ結婚したが


夫が事故死で、莫大な遺産を相続し周囲から

疑いの目で観られるので、逃げるように


リスボンへ来た。



その、カトリーヌが滞在先のホテルに行くのに

乗ったのが、ピエールのタクシー



お互い過去のある男女がリスボンで出会った。

バックミラー越しに、自分と同じパリから旅行に


来たカトリーヌに魅力を感じるピエールの視線に

カトリーヌも気づく・・・


ホテルに着き、カトリーヌは「パリ訛りのお礼よ」と

チップをはずむ





ホテルで一人食事してるカトリーヌの姿をドアの

鏡に映った人々が莫大な遺産を受け取ったカトリーヌを



噂しながら眺めているシーン、カトリーヌが

居心地が悪くなってくるのがよく解ります。


部屋に戻ろうとするカトリーヌに、ピエールと同じ

アパートに住む、人懐こいマヌエル少年が、ガイドを申し出て


連れて行かれた所が酒場、母子家庭のマヌエル少年は

大人びていて、満席だった酒場で一人ファドを聴いていた


ピエールとカトリーヌを相席にする。








ここで、アマリア・ロドリゲスの歌う”暗いはしけ”

カトリーヌが「きれいな歌だけど意味が・・・」と言うと


少年は「死んだ漁師の妻の歌だよ、死んだ夫に

語り掛けてるんだ」と説明します。


私もメロディに惹かれて聞いてましたけど

意味が解ると胸打つ歌でした。



一点を見つめて、”暗いはしけ”の意味を語る

ピエールを見つめるアルヌールの表情は素晴らしい・・・


♪戸を開けると日の出だった、

貴方の小舟が光に揺れた

舟は帆をあげ、沖の方へ

あなたは雄々しく、手を振った

あなたはもう、帰らないと皆が言う

そんな事はないわ

そう、あなたは今もわたしの傍にいる♪


ピエールは切々と訳しますが

カトリーヌへの愛の言葉なんですね・・・


アマリア・ロドリゲスさんは、もう亡くなられて

いますが、ポルトガルでは有名な歌手だったそうです。



カトリーヌが宿泊しているホテルに、ルイス警部が

やってきます。



フロントのカウンターに歪んで写るルイス警部の顔

いかにも、これから怖い事が起きる感じで怖い



シーンでした。




でも、カトリーヌはホテルに居ると知った顔の

人達に会うのが嫌で、ピエールが住んでる




アパートの向かいに越した後でした。

ルイス警部は貴族の親族に頼まれて、カトリーヌが


夫を殺したと確信してますが証拠がなく

カトリーヌに自白させようと狙って追って来たのです。


ピエールがカトリーヌの部屋の椅子を修理して

彼女の部屋に持って来るシーンがまた官能的




写真でどうぞ・・・









ピエールは、帰る時「明日ナザレの海辺へ、行こう

イワシが浜辺を銀色に染めてきれいなんだ」と


誘いカトリーヌは喜んで「ありがとう」と、

翌日、二人は船でナザレへ出かける






船を降りるとカトリーヌの顔色が変わるそこには

ルイス警部がいた、





カトリーヌは警部の事はピエールに何も言ってないので

単なる知人と紹介して別れるが、老獪なルイス警部は


素朴なピエールを利用してカトリーヌに、夫殺しを

自白させようとしていた。


浜辺で遊び、夜はピエールの友達と合流して

酒場に行くと、アマリア・ロドリゲスがいて、カトリーヌは


楽しそう・・・



唄い終わったロドリゲスが振り向くと、二人は

テーブルに居なかった。このシーンはおしゃれです。



夜の浜辺を散歩する二人は、急速に親しくなって

砂浜にある船に腰かけ、「いい気持だわ、ずっと


ここに居たいくらいよ」と言うと、「駄目だ船は動いて

ないと」、今の幸せを守りたいカトリーヌと


いずれ別の仕事をしたいピエールの考えの

違いが出ているシーン


カトリーヌは夜の海に入り、ピエールが抱いて

砂浜に寝そべると、








アルヌールの濡れた顔は、ピエールの心を

揺さぶり激しく抱き合う、


翌日カトリーヌはピエールを夕食に招待し

自分の部屋の鍵をピエールに渡すと




ピエールは妻を殺した事を思い出し、動揺する

約束の時間に行けなくて、遅くなると、


ルイスがカトリーヌのアパートの下に居るのを

見つけ、恋人か?と問い詰める


ピエールは妻殺しを、


カトリーヌにまだ打ち明けてないし、カトリーヌも

夫殺しを打ち明けてなくて、そこへルイス警部が


ピエールを使ってカトリーヌをジワジワと

追い詰めて行くシーんは、ほんとに


怖かったですね。ラストは敢えて書きませんが

怖い過去を持った二人の愛情は思いがけない


事で終わってしまい、やるせない気持ちでした。




画像は、グーグルサイトから

お借りしました。