西洋的科学物質文明の限界 | 池内昭夫の読書録

池内昭夫の読書録

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 最近になって世界の識者は,従来の西洋的科学物質文明が一つの限界に突き当たっていることに気が付いた。現在世界を覆っているさまざまの危機の元凶は,突きつめると,すべて西洋文明を推進してきたその後遺症であることが分かってきた。

 たとえば各種の公害,地球環境の悪化,地域紛争の激化,麻薬,暴力,エイズ,性の乱れなどの社会の退廃など,すべて西洋型文明の当然の帰結とみることができる。今や文明の危機であり,人類滅亡の危機が迫っていることが,誰の目にも意識されるようになった。それは文明の持つ表の華やかさに幻惑されて,そのそこに潜む悪魔性,野蛮性に全く気がつかなかったからだ。
(清水馨八郎『破約の世界史』(祥伝社),pp. 13-14)


西洋に対する東洋,物質に対する精神,それらを見直すことが,今起こっている世界の諸問題を解決する糸口となるのではないかと期待される。