レバレッジETFについては、米国ブログ村やseeking alpha等でしばしば議論されていますが、
結論から言えば、レバレッジETFに興味があります。
やはり、レバレッジを利かせて高いリターンを得、なおかつ、それなりにリスクを軽減できるのであれば、
いちいち個別銘柄を選定する必要もないし、
レバレッジETFを採用する合理性はある、
ということになります。
レバレッジETFの基本形は
株式:債券=60:40というベーシックな分散ポートフォリオから、
SPXL(S&P500指数3X):TMF(20年超米国債3X)=60:40
というものであると思われます。
これの変化形として
SPXL:TMF=50:50
というものや、さらにSPXL50%の部分を
CURE(米国ヘルスケアセクター3X)、LABU(米国バイオセクター3X)、その他
で代替したりするパターン、さらには、値動きの少ないBND(SHV)をかませて
SPXL:TMF:BNDをいくつか比率を変えて配分するパターン、などが議論されているように思えます。
そして、これらの比率で配分されたレバレッジETFを
3ヶ月~1年
くらいの頻度で当初の比率になるようリバランスする、というのが肝であるように思えます。
問題は、これらのレバレッジETFが
レイ・ダリオのオールウェザー・ファンドのように
常に通用するか
どのような相場環境でも適用できるのか
ということだと思います。
要するに、米国株ブログやseeking alphaを拝見してもこれらのレバレッジETFのバックテストなどを見ていると、
リーマンショック前後でもレバレッジETFの成績はかなりいい、
よって、オールウェザーETFとしてある種のデ・ファクト(de facto)スタンダード化して論じているように感じていますが、
それが、デ・ジュリ(de jure)のレベルまで高まっているのか、まあ正確には法律上のものではないので、
別の言葉で言えば、オールウェザーとして、合理的な疑いを超える程度まで確からしいといえるのか、
ということを考察してみたいと思っています。
実は、この手のレバレッジETFへの有力な反証として
スタグフレーションになったらどうなるのか
という反証があげられる気はします。
スタグフレーションとは、
不況なのに、インフレが昂進する状態
を言います。
1973年の第一次石油ショック時代を想像したら分かりやすいです。
1973年までは米国株式市場は絶好調でしたが、1973年から1974年にかけて
米国株は大暴落
します。
加えて、景気が低迷していたのに
1974年のインフレ率は11%に達する
など、まさにスタグフレーションと言えると思います。
当然高インフレなので政策金利も上げざるを得ず、金利も10%くらいまで上昇しました。
https://swap-point.com/interest-rates-60years/
さて、このようなスタグフレーションが到来したら、レバレッジETFはどうなるのか?
いろいろなレバレッジETFのバックテストを見たのですが、
2000年代初めからリーマンショック前後のバックテストは存在するも、
1970年代まで遡ってのバックテストは発見できませんでした。
以下は、当方の1970年代の考察になりますが、
不景気による株式市場暴落で、
何らかの金融ショックがなくとも30%くらいは下げる可能性はあるし、
実際、1970年代の下げはNYダウで換算すると40%下げていますので、
ブル3倍のSPXLは90%強くらい下げる可能性はあることになる、
そして、スタグフレーションで高インフレ高金利になるので
債券であるBNDもそれなりに下げてくる可能性が高い
1970年代前半は政策金利3%くらいから10%まで上昇しているので
下手すれば、20年超米国債も20~30%くらい下げる恐れがある(TLTなどはこの期間がないためここは推測になりますが)
BNDは短期債券も交じっているので下げはそこまでにはならないが、10%強くらいは下げる可能性はある(ここも推測)
そして、20年超米国債ブル3倍のTMFは60~90%くらいは下げる可能性があるのではないか
とも思えます。
とすると、いくらリバランスをしても1970年代の状況では、
SPXL・TMFの両方とも瞬間的には90%くらい下げた可能性がある
となると、スタグフレーション下では、
SPXL(ないしはそれに類するCUREなど)・TMFはお互いヘッジの役割を果たしていない
したがって、スタグフレーション時にはレバレッジETFは機能しないのではないか
とも思えます。
実際、有名投資家のジェフリー・ガンドラックは
2021年までに10年米国債金利6%になる
と予想してしますし、
https://www.financialpointer.com/jp/post-17546/
ダン・ファスは
スタグフレーションのリスクがある
と述べています。
https://www.financialpointer.com/jp/post-17280/
すると、そのような状況下では株式と債券と両方下げるように思われます。
なので、株式と債券のヘッジが行われるか、極めて疑問に思われるのです。
以上のことから、
基本的にレバレッジETFは不況でも好況でも対応できそうであるが、
スタグフレーションという特殊な状況下のみはヘッジの役割が果たせず90%もの減価によりポートフォリオが機能不全を起こす恐れがある、
よって、レバレッジETFはオールウェザーなのかは合理的な疑いを超える程度に証明されたとは言えない、
と考えています。
逆に言えば、スタグフレーションが疑われなければ、株式と債券の補完関係があるため、
オールウェザーETFとして使用できる、
と言えるのかもしれません。
当方はレバレッジETFの有用性・合理性はあり魅力的な面はあると思っています。
あくまで当方が考えているレバレッジETFの使用方法は
レバレッジETFへオールインしてオールウェザーとして使うのではなく、
従来型ポートフォリオ→70~80%
現金→20~30%
としておいて、大暴落によりレバレッジETFが80~90%超下落したら、
その時、現金20~30%を使って、レバレッジETFを全力買いする、
TMFやBNDでヘッジせずに、SPXLないしはCUREのみ買う
という方法にして参入してみるのが面白いのではないか、と考えています。
まあ、まだ構想段階なのですが、
株式市場が30%くらい下げることは通常でもありうると思うので、
SPXL・CUREが80~90%くらい下げることもありうるはずである、
その時のみ、余剰の現金でレバレッジETFに参入すればいい、
SPXL・CUREなどは80~90%減価しても元に戻るどころか、それの数倍くらいは回復しそう、
逆に80~90%くらい減価しなければレバレッジETFには手を出さない、
くらいにある種気軽に待ち構えてみよう、と思っています。
(注)本見解は他者の投資方法を誹謗中傷するものではなく、純粋に自己の投資方法の検討のために
後で読み返して自己の思考の流れが分かるように、
備忘録的なメモとして、
書き記しているものであります。
そもそも本見解が間違っている可能性もありますので、その点ご理解の上、一つの材料として様々な角度から考察いただけると幸いです。
ただ、一点検証したいのは
レイ・ダリオの