リバースウィーブのタグの変遷・年代の見分け方 | チャンピオンマニアの視点

チャンピオンマニアの視点

チャンピオンTシャツ、リバースウィーブを中心にマニアの視点で50~90年代まで幅広いアイテムの細部を詳しく解説していきます!また、チャンピオンの魅力をIVYに始まる東海岸のカルチャー、70sの西海岸カルチャーの中から当時の写真を交えながら迫っていきたいと思います!

本日は、king of sweat リバースウィーブのタグの変遷を

詳しく解説していきます。

いろいろな判別方法がありますがタグの表記の変遷を

見ていくのが一番詳細に説明できますので

それでお話ししていきたいと思います。

 

 

まずは38年~40年代のタグ

この最初期のリバースは、デカランタグがついていました。

このタグがつくタイプは両V仕様になっており、前身頃と後見頃

そして、袖までが1枚仕立てになっているドルマンスリーブになっています。

しかし、この1度目パテント登録した形では未完成だったようで

積極的に生産されていなかったように感じます。

なのでドルマンスリーブ仕様のリバースは40年に一旦、生産終了となります。

 

第2次世界大戦中は生産されていなかったようで

1947年~生産再開。

50年までの2年間はこちらのデカランタグが付きます。

なかなかお目にかかれない超レアものです。

 

そして、

1950~1951年の2年間はこちら

そして、さらに超激レアにこのタグも

これは2度目のパテント登録1952年までのタグ。

つまり、2度目のパテント登録前までは

リバース専用のタグが付かないということになります。

 

この2度目で今の形が完成されたんです。

この50sに完成されたデザインが今日まで

作られ続けていることそのものがすごいことですよね。

この完成されたリバース。

チャンピオンは満を持して50sから積極的に作り始めたんじゃないかと。

また、アームホールは当時のスウェットでは広く設計されてました。

それはチャンピオンの公式HPでもフットボール等の競技で

防具の上から着用する為と書いてあります。

本当かと思いますがそんな写真も存在します。

それがこちら


ワンポイントのプリントですがカッコいいです。

ちょっと脱線しましたがタグの話に戻ります。

 

 

下のタグが52年~50年中盤のタグになります。

通称:タタキタグ 初期タイプ

 

写真では判りにくいですがサイズ表記が

タグの右斜め上に小さく入ります。

それより大きく

”REVERSE WEAVE”と"EXPANSION GUSSET”の文字。

その下に小さくUS PAT №○○○○○と表示されます。

これはアメリカで特許を取得していること表しています。

”REVERSE WEAVE”が胴部の横編みのこと。

"EXPANSION GUSSET”が脇のリブ素材の部分になります。

この2つの特許をとっていますということが

おそらく一番の売りだったのとコピーされないように

という意図があったのでしょう。

また、このタタキタグの素材は綿ではなく

光沢のある(レーヨンっぽい)素材になっています。

 

 

下のタグが50年中期~1959年のタグです。

通称:タタキタグ 中期タイプになります。

初期同様パテント表示を強調したタグですが

サイズ表記が大きくなりました。

パッと見は60年代のタタキタグに似ていますが

サイズ表記が一番下にあります。

このタタキのタグが付く年代のリバースは

ボディーが漂白していない綿そのものの色(オートミール)と

袖と裾のリブは荒目の綿でリブ編みしたものを使用して

きれいなツートーンになります。

また、袖、裾のリブは縫い目の無い丸リブになってます。

 

下タグが60年~67年までのタタキタグになります。

こちらも通称:タタキタグ 後期タイプになります。

一番使われた時期が長いので比較的多くみかける

タタキタグになります。

CHAMPION KNITWEAR CO INCが一番上に表記され

サイズ表記が真ん中あたりに表示されます。

そして今まで表示されていなかったレジスタード№が表示。

レジスタードナンバーとは(詳しくは師匠のブログを参照)

この年代までのリバースはすべてCotton100%です。

 

 

こちらが67年~69年までのタグです。

 

 

通称タタキタグ 最終タイプ。

Tシャツでいうとプロダクツタグと全く同じ年代に使われました。

Tシャツのところでも解説していますが

ニットウエアカンパニーから社名変更により

タグが変わったと思われます。

チャンピオンマニアの視点

REVERSE WEAVE”と"EXPANSION GUSSET”の文字は小さくなり

その下に青いで小さくコットン90%、ポリエステル10%と表示されてます。

いままでコットン100%だったのがポリ混になります。

当時のリバースはアスレチックウエアとしてアスリート専用で作られていました。

なので耐久性UPのために素材変更になったと思っていましたが実は違います。

60s後半のアメリカではコットン100%の裏起毛するスウェットシャツの販売が

消防法によって禁止されました。

なので65年に初めてポリ混のスウェットがチャンピオンから発売され

リバースも同様にポリ混になっていきました。

使用したポリエステルは同じロチェスターに本社を構えていたコダック社が

開発したポリ混素材だったんです。

 

 

次が70~73年くらいまでのタグになります。

69後半~70年がタタキタグから単色への移行期で

70sでもタタキタグと単色の最初期(アンダーバー)が共存してます。

通称:単色最初期 アンダーバーになります。

この年代のボディーはかなりクオリティーが高く

個人的に最も素晴らしい質感だと思ってます。

 

アンダーバーとはタグの下にバーが印刷されているもの

基本はこのタグの場合

REVERSE WEAVEの文字の横にTM表示。

しかし、アンダーバーものでもTM表記ではなく

Ⓡ表示のものも存在します。

それがこちら

REVERSE WEAVEの後がⓇになってます。

こちらはアンダーバーが無くなるちょっと前に存在し

期間が短かった為か数は少なめ。

アンダーバーものは70年からの2、3年で

Ⓡのアンダーバーはその最終で73年頃の1年も満たない期間かと。

そして、パーカータイプでは今までは

左のような楕円の丸環でしたががアンダーバーの1、2年で

右の潰しの丸環への移行しています。

 

次が73~76年くらいまでのタグで

通称:単色初期 ポリ単色になります。

この年代のボディーの質感はかなりクオリティーが高いですが

75~76年の最終期は質感はちょっと落ちます。

単色初期タイプは

アンダーバーが無くなるだけ。素材もタグの表記方法も同じなので

基本、アンダーバーも含みで単色初期という言い方になります。

 

それとよく、アームホールが細いタイプなんて

言う古着屋さんもいますが

それはこの単色の初期タイプになります。

リバースがアスリート仕様だっただけあって

タグ内には「WARM UP」の文字が追加。

下の写真は70年代のオレゴン大学の

TRACK&FIELDのウォームアップ風景


チャンピオンマニアの視点
右の人おそらく単色だなぁ~。やっぱりカッコいい。

こちらも集合写真で


チャンピオンマニアの視点
後ろの右から2人目。これも単色だなぁ~。

かっこいい。

 

単色タグとは1色でプリントされているタグですが

そのタグに使わる色がいろいろあります。

初期単色の時代はサイズによってタグの色が決まってました。

理由はリバースは個人管理ではなく部で管理し

誰がどれを着てもよかった。なのでサイズで色を変えることで

自分のサイズを探しやすくするためでした。

XSが緑

Sが青

Mが赤

Lがマルーン

XLがゴールド

緑が少ないと言われますが

それはすなわちXSが少ないということです。

この後に述べる後期単色タグでは

この色のルールが変わってしまう為

分かりにくくなってます。

 

 

続いて76年~81年までが下の写真のタグになります。

通称:単色タグ 後期タイプです。

(76年は初期タイプとこの後期タイプが混在していると思われます。)

こちらは初期タイプとデザインは同じですが素材が違います。

コットン90%とアクリル10%。

そして、この後期タイプのタグの色はXL以外、青か赤の2色。

このようにアクリル単色では同じサイズでもどっちの色も存在します。

 

しかし、XLだけは4色存在します。

上段が77年くらいまでのころ。

下段があとで紹介するレーヨン混になる77~78年に変更になったタグになります。

 

アームホールは単色初期より太くなりますが

パーカーのフードは単色初期同様小さめです。

当時はおそらくですがアクリルのほうが

ポリよりも高かったと思われますが

そんなコストUPにも関わらず

アクリル混へと大きく素材の変更となりました。

ではなぜか?

そこにはそれぞれの素材の特徴から

チャンピオンのこだわりを感じます。

 

それぞれの化繊の特徴

 

 

アクリルの特徴

 

ポリより糸が太く、太い糸でできた生地は
それだけ空間ができ、空気を貯める面積も大きくなって保温力がある。

そして、着色性にすぐれていて、耐光性がある。つまり、太陽熱に強いとうこと。

また、軽く、柔らかいのでフワッとした肌触りになる。これだけのメリットがあるということ。

しかし、弱点としては伸びやすい。

 

ポリエステルの特徴

 

糸が細く、密度高ければ丈夫さが増す。また、光沢もあって美しい。
その反面、太陽熱に弱く、退色しやすい。また、肌触りもゴワっとしてしまい良くない。

 

こう見ると

 

退色、着色性、保温性、肌触り、軽量。この5つの特性が

この優先順位でポリよりアクリルのほうが勝る。

つまり、多少の丈夫さを犠牲にして、さらに伸びやすいという弱点があったとしても

アクリルの総合力が上ということなんだと判断したからだと思ってます。

実際に古着屋さんでカラーリバースものの退色の激しいのはポリものが多いです。

 

 

また、この後期タイプは着こむほどヨレッとした風合いになるのも

上のアクリルの弱点が出ている証拠です。

 

 

そして霜降りグレーもののみ77~78年で

アクリル10%の後期タイプから

コットン82%、アクリル12%、レーヨン6%の配合になる

単色最終期に変更になります。

なのでアクリル10%の霜降りグレーは

1年程度でかなりレアなんです。

なぜグレーの物だけにレーヨンを6%配合に

変更したのかは不明です。

生地の厚みをちょっと薄くしても強度を

増すためだったんじゃないかと。

 

 

次が81年~83年までのタグになります。

これが通称:トリコタグ 前期タイプです。

ポイントはMADE IN USA表示が裏面になります。

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おそらく81年は単色とトリコタグが混在している年になると思われます。

 

このタグは杢グレーがコットンが82%、アクリル12%、レーヨン6%

カラーものはコットン90% アクリル10%になります。

よって、杢グレーとそれ以外で配合は2種存在することになります。

この年代のボディーの質感はかなりクオリティーが高く

個人的に評価は高いです。

 

それとこのトリコ初期タイプのタグのパーカーの金具は

単色タグと同じ平べったいつぶしの金具が使れ

フードも単色同様小さく

単色仕様のままなのもいいところです。

 


次は83~89年までのタグで

通称:トリコタグ中期タイプです。

ここでのポイントはMADE IN USAが表に表示されていること。

それと®マークがCの上にあること。

このタイミングで杢グレーは

コットン89%、アクリル8%、レーヨン3%の配合に変更。

しかし、カラーものは

コットン90%とアクリル10%と変わらずですが

この中期タグのカラーものは

タグの裏にもう1枚タグが縫い付けてあり

チャンピオンマニアの視点 チャンピオンマニアの視点

このもう1枚の裏タグは洗濯注意タグで

「分厚い素材の為カラフルなカラーとは別に洗ってください。」
との表示がついています。

後期単色タグからカラーもののボディーに使用された生地の糸の染色は

後染めのものを使用しているため洗濯時の色移りのクレームが多く

また、民生用にリバースを展開したことでこのタグがつけられたと思われます。

特に白色やそれ以外の珍しいカラーはこのころから追加されたカラーになります。

紺、赤、マルーン、ダークグリーンはタタキタグ時代から

ロイアル(濃い青)、黒、黄これらは単色から存在しています。

(黒は1969~1973年くらまでの一定の期間のみ)

また、パーカーの金具はこのタグの時代では

つぶし金具のものと下の写真のような細リングタイプが混在してます。

この細リング金具タイプのパーカーのフードは今までよりも大きさくなります。

チャンピオンマニアの視点
 

 

次が89年~90年までのタグです。

こちらが通称:トリコタグ後期タイプになります。

この年代では杢グレーやカラーのもに配合の違いはありません。

しかし、違いは®マークの位置。

®はchampionの文字の後ろになります。

杢グレーに関していうと中期でも2枚タグにならないので

この中期と後期との差はここを見るしかないです。

カラーものはこの年代でも2枚タグになります。

 

そして最後に

 

90年~のタグがこのタグになります。通称:刺繍タグ

しかし、89~90年まではトリコタグと刺繍タグが

混在していた年になるかと思います。

また、刺繍タグに変更になったのは模倣品の流通を防ぐため

あえて刺繍を細かくして真似できなようにしたかったんだと思います。

USA製はおそらくですが95年までかとおもいます。

このタグのポイントは下の写真のようにコットンが89%、アクリル8%、レーヨン3%

とコットン90%、アクリル10%の2種が存在します。

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チャンピオンマニアの視点 後者のものは大学等のCO-OPで販売されていたものではなく

民生品として売られていたものに多いです。

なのでプリント入りではなく、単なる目玉のワンポイントが

刺繍されているタイプがそれになります。

レーヨン混紡タイプは着心地にゴワっと感が強く、着こむほどに伸びが出たり

ヨレ感は強くなり質の低下はこちらも否めないかと思います。

95年までがUSA製と言いましたが

少なくとも96年以降は間違えなくメキシコ製の刺繍タグになります。

 

これが細分化したリバースウィーブのタグの変遷と年代になります。

 

参考になりましたでしょうか?

ぜひ、お持ちのリバースのタグを見て頂き

その年代の思いにふけってみるのも

古着の醍醐味ではないでしょうか。

 

インスタグラムもよろしくお願いいたします。

@champion_mania


2014年9月28日

 

単色タグ最終期のくだりに誤りたありましたので修正いたしました。

大変申し訳ありませんでした。

 

2014年10月15日

40sのタグを追加。

タタキタグのくだりで追加・修正いたしました。

 

2015年7月20日

 

単色タグ最終期のくだりを追加。

 

2018年2月28日

単色タグのポリからアクリルへの変更理由を変更。

 

2019年4月9日

デカランタグの年代等を変更。

 

2021年7月

トリコタグの中期、後期の記述に誤りがありそれを訂正。

これでほぼ完成されたものになったと思います。