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丹田呼吸法によりうつ病性障害を2度寛解させた1症例

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【研究報告】 

丹田呼吸法によりうつ病性障害を2度寛解させた1症例

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【抄録】

 丹田呼吸法により自らのうつ病性障害を2度寛解させた症例を経験した。

 丹田呼吸法の奏功機序は交感神経過緊張の緩和と,その他に現代医学で説明困難な東洋医学的な経絡を中心とする他の機序が関与していると推測する。

 症例は大学時代に神経症性抑うつを癒すために丹田呼吸法を研究し実践した経験があった。大学時代,丹田呼吸法はほとんど効果はなかった。大学時代,神経症性抑うつを癒したのは宗教および宗教活動であったと主張する。

 そして今回,症例は大学時代に行った丹田呼吸法を大学在籍中より行っていた祈祷中に思い出したように行う。効果は一日にして劇的に現れ,一日にして寛解。しかし,数ヶ月後,激しい過労に依り再発する。このとき,丹田呼吸法を心懸けた祈祷を行う気力が現れず。4ヶ月間、うつ病性障害は続く。しかしある日,夜,一日目3時間,二日目2時間半の丹田呼吸法を心懸けた祈祷を行う。そして2度目のうつ病性障害の寛解が起こった。

【key words】tanden respiration,depressive disorders,neurotic depression

【はじめに】

 丹田呼吸法を行うことにより呼吸数・心拍数は減少してゆき交感神経過緊張状態は緩和され,全身の自律神経は安定化する。丹田呼吸法を実践することにより必要とする抗不安薬,抗うつ薬,抗精神病薬の量は減少して行く。

 古来より,丹田呼吸法は健康法の要とされてきた。丹田呼吸法を行うことにより,様々な疾病が治癒するとされてきた。 武道に於いても,丹田呼吸法は重要視され,意識を丹田に置いて勝負に臨むように指導されてきた。これは真剣勝負の世界に於いては特に重要視されてきた。意識を丹田に置かないと手下の相手から不覚をとる,と言われてきた。命を懸けた決闘に於いて,勝つ側は丹田に意識を置いており,負ける側は意識が丹田より上に上昇している,と言われる3)。

 一般に“腹が据わっている人”というのは丹田呼吸を習慣化して行っている人を指すことが多い。丹田呼吸法を習慣化すると,心変わりが少なくなる,平静心を常に保てるようになる,と言われる6)。

 

【方法】

 筆者は現在,この症例により丹田呼吸法の有効性を認識し,うつ病性障害を代表とする精神的疾患の患者に次のようなパンフレットを渡している。院内で指導する故,椅子に腰掛けさせて行っている。帰院してからもこのパンフレットに従い,自習するよう勧めている。

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(第一法) 丹田呼吸法

 坐位,または椅子に座って,行うのが好ましい。立位にて行っても良いが,疲労するという欠点がある。また,歩きながら,走りながら行っても良い。(歩きながら走りながらのときは声は出さない。歩く,または走るリズムに合わせて胸を大きく張り深い呼吸を行う。)

 吸気は鼻から比較的早く行う。鼻が詰まっているときは口からでも構わない。しかし鼻から吸気することが好ましい。(このとき,舌尖を上歯の裏側より僅かに内側の上顎部に付けていること,と書かれている書籍が多い。)

 吸気のとき,胸を張ること。胸を大きく張ること。弓なりに体を伸ばしながら吸気する方が良い。下腹部を吸気の終わりの頃,膨らませること。

 吸気のときも吐気のときも胸を張っていること。吸気の終わりの頃,胸を横に広げ,更に吸気するという方法を採っても良い。

 ゆっくりと発声しながら吐く。呼気は丹田(下腹部中央)から声を出すように意識しながら,ゆっくりとできるだけ長時間で出す。丹田に響かせながら発声するよう意識すること。

 声は小さな声で良い。声を出すのは吐気をゆっくりと出すためである。声を出さないと吐気をゆっくり出すことが困難である。

 吐気は最初20秒ほどしかできない。しかし,上達するにつれ,25秒,30秒,更に40秒,50秒以上と延びてゆく人もある。

 吐気に重点を置く。吐気はできるだけ長く,できるだけ完全に吐ききるよう努力すること。

 吐気の終了時,体を少し倒しても構わない。しかし,原則として吐気の終了時も,胸は張ったままで,体を前に曲げることは行わず,ただ下腹部を凹ませるだけであること。

 これらを行えば自然と日常生活に於いても丹田呼吸を行うようになってゆく。

 丹田呼吸法の練習時には下腹部を締め付けない,ゆったりとした服装が望ましい。それは日常生活時に於いても同様である。

 外出時に於いても,できるならば,下腹部を締め付けないよう,下腹部を膨らませるときに邪魔とならならないよう,ベルトでなくサスペンダーが望ましい。

 呼吸にも力を入れてはいけない。下腹を凹ますようにして吐けるだけ吐けば自然と吸気する。

 体全体の力を抜いて行うこと。

 体を風船と思うこと。

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(第二法) 丹田呼吸法

 椅子に座って,坐位にて,立位にて,臥位にて,どれでも構わない。目を瞑って行った方がこの第二法では非常に効果が高い故に立位にて行うのは辞めた方が良い。

 片方の手首を片方の手で握るときに吐き,弛めるとともに吸う。このときは手首の上下方ではなく,手首の側方(片側でも両側でも構わないが両側が良い)を圧迫し離す,というように行った方が行い易い。しかし上下方でも良い。

 声を出す必要はない。ゆっくりと鼻から吐く。鼻が詰まっているときは口から吐いて構わない。また弱く圧迫するのみで充分である。

 下腹を凹ませ,ゆっくりと吐けるだけ吐く。吐けるだけ吐いたら圧迫を辞め,一気に鼻から吸う。これを繰り返す。つまり圧迫するときに吐く。圧迫を辞めるとともに吸う。

 吸気は鼻から一気に行う。もちろん鼻が詰まっているときは口からで構わない。

 片方の指が疲れたら今度はもう片方の指を使う。右が疲れたら左へ,左が疲れたら右へ,というように交代して続ける。

 手首から5cmほど肘よりの『外関』を他方の手の指で緩く指圧しながら吐く。また,親指と人差し指の間の『合谷』でも良い。または他のツボでも良い。その人その人に合う適当なツボで良い2)。

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(第三法) 丹田呼吸法

 第一法と第二法を併せた方法である。

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【症例】

 症例は36歳,男性。33歳時,突然,朝の起床困難と倦怠感を自覚。しかし「抑うつ気分」「無力感」は無し。症例は大学時代,神経症性抑うつを経験しており,そのときに有った「抑うつ気分」「無力感」が無い故と「発熱・リンパ節の腫脹」が無い故に自身の病気を慢性疲労症候群(疑)と自己診断していた。なお、この神経症性抑うつの発症は失恋によるものであった。

 本院受診。症例は慢性疲労症候群(疑)に対してうつ病性障害と同じく抗うつ薬の投与を行うことをインターネットより情報入手していた。発売されたばかりの fluvoxamine の投与を開始。しかし fluvoxamine の副作用に過敏に反応する。眠前服用のみにしたが,それでも副作用に過敏に反応。三環形抗うつ薬の眠前服用にても副作用にも過敏に反応。四環形抗うつ薬の眠前服用にても副作用にも過敏に反応。trazodone 眠前服用にて副作用をほとんど感じることなく服用できる。trazodone の服用を続ける。trazodone にても眠前に服用しなければ眠気・倦怠感に襲われ仕事ができなくなる故,眠前服用を続ける。また,milnacipran,paroxetine が発売される毎に処方,眠前服用したが,副作用強く,服用は服用開始しばらくして中止する。

 症例は大学時代に神経症性抑うつを癒すために丹田呼吸法を自ら研究し実践した経験があった。大学時代,丹田呼吸法は神経症性抑うつにほとんど効果はなかった。神経症性抑うつを癒したのは宗教および宗教活動であったと主張する。

 薬物療法,運動療法にほとんど反応を示さず。症例は自ら丹田呼吸法を始める。効果は一日にして劇的に現れる。3年間,薬物療法,運動療法,認知療法にて全く軽快傾向を見せなかったうつ病性障害は一日にして寛解。その後,両親の面倒を見るため故郷に帰省。しかし今まで勤めていた福岡の勤務先を急に辞めることができず,長崎の勤務先と二つの勤務先を掛け持ちで3ヶ月半,一日も休み無しで働く。そしてその二つの仕事は夜遅くまでの仕事であり強い過労によりうつ病性障害再発する。丹田呼吸法を心懸けた祈祷を実践するも倦怠感により,祈祷は一日僅かしか行えないでいた。うつ病性障害は軽快傾向を見せず。

 しかしある日,同じ宗教の同志からの信じられないような反論・中傷をインターネットのホームページに書かれてあるのを見る。それはうつ病性障害にて起床することができず,仕事を休み,午後7時まで布団に横たわっていた日のことであった。煩悶しながら仏壇の前で祈祷を始める。いつものように丹田呼吸法を心懸けながら祈祷を行う。祈祷は煩悶しながら3時間に亘った。翌日も夜,その煩悶にて仏壇の前にて2時間半の祈祷を行う。その2日間にてうつ病性障害は再度,寛解。一日目の3時間の丹田呼吸法を心懸けながらの祈祷でほとんど寛解したのかもしれないと症例は言う。

 しかし,この寛解も3ヶ月で終わる。再発は離婚問題であった。離婚問題の心理的圧迫により再発し,今度は不眠性障害をも伴う。朝の起床困難,倦怠感は軽かったが,今度は祈祷を行いながらの丹田呼吸法では軽快傾向を見せず。また,今まで2回のうつ病性障害と異なり,朝の起床困難,倦怠感はほとんど存在せず,うつ病性障害の再発よりも神経症性抑うつの可能性が高かった。

 また今まで体力減退がうつ病性障害に良くないと考え,2日に一度の程度で仕事が終わってからの真夜中の15分ほどのランニングを行っていた。しかし,それはうつ病性障害にはあまり効果はないようであることに以前から症例は気付いていた。ただ,体力減退を逃れるために真夜中の15分ほどのランニングを行っていた。

 症例は祈祷しながらの丹田呼吸法も実践し続けたが,大きく丹田呼吸法を行いながらの早歩きのヲーキングを始める。それはランニングと異なり体力の消耗は少なかった。それ故,一日1時間の早歩きのウオーキングを行えた。症例は短距離走が非常に得意であり,長距離走は非常に苦手で,ジョギングが困難であった。

【考察】

 古代,中国では心は腹に宿る29)と言われていた。古代,中国の人は腹腔神経叢を現代の脳のように考えてきた6)。

 丹田呼吸法は少なくとも鎌倉時代までは僧侶の一般的心得としてほぼ全ての僧侶が行っていた。それが忘れられたのは室町時代からと推測される12)。

 僧侶の修行は少なくとも鎌倉時代までは極めて厳しく,現代で言う“うつ病性障害”“不安障害”“急性精神病状態”などの精神的疾患は多発していた。しかしそれらはほとんど全て先輩僧侶の指導による丹田呼吸法により寛解していたと言われる12)。

 丹田呼吸法では『下腹を凹ませるまで息を吐き出す』ことが重要である。呼吸数は減少し,心拍数も減少する。下腹を凹ませるときと下腹を凹ませないときでは減少度が異なる。慣れてくると意識せずに下腹を凹ませるようになる。そしてこれは腹部交感神経叢への圧迫による効果と言われている13)。

 丹田呼吸法は交感神経過緊張を緩和させ副交感神経を賦活化し自律神経のバランスを取る効果がある26)。

 文献的に『吸気は交感神経を緊張させ,吐気は副交感神経を緊張させる。吸気は速めに短く,吐気はできるだけゆっくりと長くすること。15)』とある。つまり長吐気が副交感神経を亢進させるために重要である。

 呼吸法は釈迦の時代にすでに存在していた。釈迦の時代,息をできる限り行わない(断息)という苦行が存在していた。これは食を断つ,睡眠を断つ,それら以上の苦しみを伴っていた。この修行法は遠くバラモンの時代から存在していたらしい。そして釈迦はその苦行の矛盾を釈迦独自の呼吸法の確立として教典に残した25)。それは中国に伝わり,気功として独自の発展を遂げるようになる。そして気功法は様々な流派が乱立した。天台の著作には呼吸法の詳述な記載が見られる21)。

 呼吸法の行い方も流派により様々となる。しかし様々な呼吸法の効果は各流派ともに同一的見解を示している23)。

 例えば,この反対に長吸短呼の呼吸法がある27)。吸気に重点を置いて,吸気をできるだけ長く行うようにする。この呼吸法は交感神経亢進作用があると言われる。しかしストレスの多い現代社会に於いてはこの呼吸法の必要性は極めて少ない。現代社会に於ける病気の大部分は交感神経過緊張による故である29)。

 中世に於いては現代のようなストレスフルな社会ではなかったと思われる。また食生活も粗末なものであった。それ故に交感神経亢進を促す呼吸法が存在する価値があったと推測される27)。

 そして足芯呼吸14)というものが存在する。これは呼吸するとき,足の裏または足の先から息を吸い,足の裏または足の先から息を吐く,というイメージによる呼吸法である。これは“気の上衝”を下げるのに非常に有効な呼吸法とされている3)。過労・ストレス・悲哀により“気の上衝”を来すことがしばしば起こる5)。その“気の上衝”は精神疾患を引き起こす4)。修行僧は極めて激しい修行により“気の上衝”を来すことが多発していた12)。抗不安薬の存在しなかった古代に於いてそれら交感神経過緊張を抑える呼吸法は唯一の治療法であった7)。

 症例が大学時代に罹患したのは「軽症のうつ病性障害ではなく神経症性抑うつ」と大学病院精神科にてはっきりと言明された。内分泌的検査らしいものも幾つか行われた、と言う。そして大学時代、丹田呼吸法は症例の神経症性抑うつに全く効果が無かった。

 現在,インターネット上に丹田呼吸法によりうつ病性障害が寛解したとの報告が多数見られる。すべて代替医療として行われたものである。そしてそれらは全て一日または二日で寛解している。うつ病性障害で苦しみ悩んでいる人々は無数に存在する。我々は決してそれらを非科学的と見捨てることは許されないと思われる。

 

【文献】

1)有田秀穂,高橋玄朴:セロトニン呼吸法,地湧社, 東京,2002.

2)入江正:経別・経筋・奇経療法,医道の日本社,東京,1988.

3)幡井勉:アーユルヴェーダ,ごま書房,東京,1994.

4)鎌田茂雄,帯津良一:心と身体の鍛錬法,春秋社,1999.

5)干永昌:気の養生法,春秋社,東京,1998.

6)小高修司:中国医学の秘密,講談社,東京,1991.

7)帯津良一:究極の調和道呼吸法,祥伝社,東京,1996.

8)帯津良一:現代養生訓,春秋社,東京,1997.

9)帯津良一:命の場と医療,春秋社,東京,1998.

10)帯津良一:気と呼吸法,春秋社,東京,1999.

11)龍村修:深い呼吸でからだが変わる,草思社,東京,2001.

12)田中成明:瞑想と呼吸法,朱鷺書房,東京,1991.

13)津田優:超呼吸法,ごま書房,東京,1996.

14)成瀬雅春:ヨーガ奥義書<第2巻>呼吸法の極意,出帆新社,東京,1992.

15)西野皓三:人生は呼吸で決まる,実業之日本社,東京,1998.

16)原久子:ヒーリング呼吸法,春秋社,東京,2002.

17)春木豊,本間生夫:息のしかた,朝日新聞社,東京,1996.

18)藤田霊斎:調和道丹田呼吸法,調和道協会,東京,1998.

19)ファーリD:自分の息をつかまえる,河出書房新社,東京,1998.

20)ヘンドリックスG:気づきの呼吸法,鈴木純子訳,春秋社,東京,1999.

21)本間祥白:難経の研究, 医道の日本社,東京,1983.

22)松尾心空:歩行禅,春秋社,東京,1998.

23)村木弘昌:健心健体呼吸法,祥伝社,東京,1995.

24)村木弘昌:丹田呼吸健康法,創元社,東京,1997.

25)村木弘昌:釈尊の呼吸法,春秋社,東京,1998.

26)村木弘昌:丹田呼吸法,春秋社,東京,2001.

27)寥赤虹,寥赤陽:気功,春秋社,東京,2000.

28)ローゼンバーグL:呼吸による癒し,井上ウィマラ訳,春秋社,東京,1997.

29)楊名時:太極拳による深長呼吸法の神髄,海竜社,東京,1980.

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A case of depressive disorder, which occurred the remission two times by tanden respiration.

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