私は東京ユナイテッドの選手兼コーチと共に、東京大学ア式蹴球部のコーチをしていました。

今日、ネット上でア式蹴球部のブログが話題になりました。知らない方はスルーしてください。

私は自己弁明もしませんし、誰かをかばうこともしません。ただ、(ある意味)第三者として見えた景色を正直にお話しましょう。

一部の情報だけで想像を巡らせて、それで勝手に物語を作っては人を叩くのはやめてください。今の時代、疑問に思えば直接聞くことだってできます。私も逃げも隠れもせず、分かることはお話しますから、是非、誰かを叩くならちゃんと情報を得てからにしてください。

私は2017年と2018年の2年間、東京大学ア式蹴球部のコーチも兼務しておりました。ただ、実際には2017年しかア式は見ておりません。理由は今日のブログを読むまでよく知りませんでした。

2018年はユナイテッドとア式が離れて活動していました。
「なぜそうなったのか聞かなかったのか?」
一切聞いておりません。

私はプロとして雇われました。大事なことは与えられた環境でベストを尽くすことで、与えられた環境に対して疑問を持つことは全く必要のないことだからです。特にアマチュアのカテゴリではそうですね。

2017年は1年間ア式蹴球部を見ました。私にとって、指導者として初の教え子でした。今までプレーしてきたクラブとのレベル差など全く気にもならないほど、私は指導に没頭しました。自ら練習メニューを考案し、彼らにたくさん学ばせてもらいました。

2017年に加入したとき、確かにユナイテッドとア式は一緒に練習していました。練習が始まる時点でユナイテッドからア式に要望を出し、何人かの選手を借りた形で練習していました。

私は、これではア式のためにならないと思いました。ユナイテッドは2017年はそもそも10人集まることはほとんどない状態だったので、私は逆にア式を指導し、「ア式の練習に、その日来ることができたユナイテッドの選手が参加する」という形に変えました。

2つのチームは課題もレベルも違います。それを、いかにすれば同時に克服していけるか。練習メニューの作成やオーガナイズには本当に苦労しました。

加えて、私が見るのは火曜と水曜だけにしました。木曜はユナイテッド対ア式で紅白戦。週末はお互いの試合でそもそも合同にはできませんでしたから、一週間にメリハリをつけて、火曜と水曜にサッカーの基本的なこと、そしてその後はア式の子たちが自分たちで試合にもっていく形にしたのです。

ちなみに、ここが「事実誤認」とした部分です。どちらが先に言い出したかを争っているわけでもないので、別にどうでもいい話ですが、少なくとも練習場でア式とユナイテッドが戦っている構図ではありませんでした。今の枠組みでお互いにとってより良くなる方策を、お互いが歩み寄りながら探していたのです。

私は体が一つですので、そもそもア式の試合には行っておりませんでしたから、試合に関するものはノータッチ。(たまに口出してしまったかもしれませんが)その代わり、「サッカーをいかにすべきか」のところを担当するつもりで、火曜と水曜の練習を構築しました。

その中で、「何か感じるものはなかったのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、私は火曜と水曜の練習を完全に任されていて、その中では何も感じませんでした。私はただ、選手たちとサッカーを上手くなるために取り組んだだけでした。

1年間の中で、ユナイテッド首脳陣とア式蹴球部の子たちとの軋轢を感じる場面は限られました。ただ、そうですね、「なかった」と言えば嘘になるかな。でも、それはどの組織でもあるような世代間のギャップによるものに見えました。

皆さんが所属するどんな部署でもあるでしょう。決して、世代が上の者にも悪気があるわけではない。下の者も受け取る側次第で、それが一概に「悪い」と言えるものは、私が見る限りはありませんでした。事実、その体制は維持されていたわけですから、それ以前の状況を知らない私にはそれが通例のようにも見えましたので。

ただ、今日のブログを読んで、「そういうことだったのか」と感じることはあります。ア式の子たちが苦しんだことは私の想像以上なのでしょう。

とはいえ、それだけでユナイテッドのことを罵るのも、これまたお門違いに見えます。確かにやり方に問題があったかもしれませんが、別にユナイテッドがア式を利用しようとした意図は私の知る限りありません。ア式のグラウンドを乗っ取ったりもしていません。ただ、情熱の伝え方が世代間には大きく違ってきていて、それをお互いがうまく理解できなかったのだと思います。

そう、お互いが。

ここから先は私にはタッチできません。これは無責任ではありませんよ。それが私にとってのプロとしての責任です。

当事者は当事者同士で、面と向かって話し合えばいいと思います。

私は私で、私が与えられた役割の中で、求められたもの以上を目指して働きました。

この件に関して、面と向かって話せないことは一つもありません。聞きたいことがあるなら、皆さんも面と向かって聞いてください。

でも、登場人物は皆誰も情熱があったのですよ。それだけはお伝えしておきますね。