【なにがあっても動じない】

昨晩、久しぶりのママ友会があった。

互いのスマホで息子たちの変貌(でかくなった)を見せあったり、「勉強しろって言葉より無意味なもの、ある?ないね〜」に深く頷きあって笑った。

商店街からポケットに財布だけ入れてブラブラ帰り道、ふと先日の講演会で質問された
「子育て期のママにおすすめの絵本はありますか?」
を思い出していた。

私の口からとっさに出た1冊は、
『おちゃのじかんにきたとら』(ジュディス・カー 作/晴海耕平 訳/1994年 童話館)だった。


女の子とおかあさんがお茶の時間を楽しんでいると、突然、ばかでかいトラが訪ねてくる。

🐯「おなかがすいているんです。ごいっしょさせていただけませんか?」
(見た目とは異なり)物腰は丁寧なトラだ。

だがトラは、テーブルの上のサンドイッチやらパンやらケーキやらティーポットのお茶をすべてひと飲み。
さらには作りかけの夕飯や冷蔵庫や戸棚の食べ物もおとうさんのビールまで、すべて、なにもかも、家の中のいっさいがっさい(!)飲み食いつくして去っていく。

ちなみに最初、女の子が食べられちゃうんじゃないかとハラハラしたけどそういうのではなかった。

で、なにが好きかって…

おかあさんがいいのだ。
抜群に素敵なのだ。

ばかでかいトラがやって来ようが、
家中を荒らし回ろうが、
慌てもしなけりゃ怖がりもしない。

彼女はちっとも動じない。

出ていくトラに手を振って見送ってようやく、
「ゆうごはんがなくなってしまったわ」...

(絵本では、おとうさんの提案で外食することに。ナイス!)

そんで翌朝には、「トラがいつまた来てもいいように」また食べ物をたっぷり買い出しに行くのだ。
大きな愛だ。

「仕方がない、引き受けましょう」なのか
「なにがおきてるのかわかんないけど、ま、いいか」なのか
「トラにも事情があるのよ」なのか
心の中のほんとうはわからないけれど、

私はあの頃も今も、ずっと、
このおかあさんに憧れている。


絵本コーディネーター東條知美