ファイルNo,97 M様 RG250Γ 足回り変更 その1
RG250Γの作業も大詰めとなりましたので
ここらで途中経過を報告しておきます。
まずオーダー内容です。
RG250Γの初期型にRGV250Γ VJ22の前後足回りを組んだものを
購入したものの、取り付け方法を見直して欲しいという事です。
具体的にはリヤのサスペンション回り
フロントのハンドルストッパー等です。
↑メールでの打ち合わせ時に頂いた画像です。
他に頂いたサス回りやステム回りの写真を拝見して
大体の内容は把握できましたが、
いかせんRG250Γというのは当店でも実績がないため
より突っ込んだ話は車両を拝見してからという事になりました。
実際に車体を拝見させて頂き、
なるほどM様が不安の思う個所は判りましたが、
検証のためにバラしてみたところ
残念ながらこのΓは足回りの組みつけが適正に処理されておらず、
すでにリペアできる状態ではありませんでした。
VJ22のリヤ回り自体を流用する事に無理があるかと思いますが、
スイングアームの幅詰だけでは対処できないため、
フレームピポット内側がグラインダーで削られており、
ピポットシャフトを通す穴もφ14からφ20まで
ハンドツールで拡大されています。
フレームのヒポット穴はまずまともに拡大加工なんぞできません。
穴のセンターはずれてしまっていて
スイングアームはねじれた状態で固定されます。
ピポットシャフトは引き抜く事すら容易ではありませんでした。
それとチェンラインが違いすぎます。
フロントにオフセットスプロケットを使えないのも痛いし
VJ22の場合はリヤのスプロケットハブの形状から
座面の追い込み加工がほとんどできないのです。
状態をお知らせした上で
オーダキャンセルもやむなくと考えましたが、
別のフレームとVJ21(正立フォークのVΓのリヤ)を使って
何とかならないかという事になりましたので
そちらでお引き受けする事となりました。
前置きが長くなりましたが、今回は外装&補器類等、
すべてお預かりしてのフィッティングではありません。
その為、後々微調整が必要な部分も出るかもしれません。
ではフロントの作業からはいります。
入庫時点でVJ22の倒立が付いていましたが、
調べてみるとステムシャフト関係を全く手直されていません。
そのためステムアッパーベアリングが
シャフトのネジ山面に当たって固定されている状態でした。
VJ22の方がステムシャフトが短いので
取り付位置の変更が必要です。
↑旋盤でシャフトエンドの溶接部を落とします。
少しずつ削って行き、シャフトの輪郭が加工面に現れたらOKです。
この辺りの判断は慣れないと難しいです。
↑続けてノーマルのΓのシャフトも引き抜きます。
シャフトを引き抜いてハンドルストッパー位置その他
確実なデーター取りをするためです。
↑こちらはVJ22です。
ステム引き抜き完了しました。
この後 ノーマルΓのステムから得たデーターを元に
ハンドルストッパーの加工にはいります。
外装がフルで揃っていれば現物合わせてで
ストッパーの位置決めをするところですが・・・
↑ジグにアンダーブラケットを固定して
↑ノーマルストッパーの切除と
新規ストッパーピンを立てるためのネジ穴をつくりました。
Γのブラケットは鉄の鋳物なので
こうした加工もなかなかやっかいです。
↑新規ストッパーピン径を決めます。
ストッパーを固定するネジ穴は
ステムシャフトに対して左右、前後とも対称にしましたが、
フレームヘッドパイプ側に溶接されている
ストッパーがあまりにもアバウトなので
↑こんな状態でフレームに押し当てます。
↑左のストッパーにφ25ピンを使って
写真Aのクリアランスです。
↑続けて右のストッパーのφ20ピンを使ってみました。
半径で2.5mmも違いますが、
クリアランスはあまり変わりません。
↑フレーム側のストッパーです。
別に転倒して大きく歪んでいるわけではなく、
元々の溶接位置がかなりずれているんですねぇ・・
写真はフレームの下から見撮りましたので
ストッパーは右側へずれている事になります。
ノーマルのフロント回りであれば
これくらいのずれも許容範囲に収まるのでしょうが
倒立ではどこかに干渉したりしますので要注意。
ヤマハのRZやRZR R1なども個体差がありますが
ここまではずれてかったかと思います。
↑お持ち込み頂いたトップブリッジは
リングナット当たり面がグラインダーで削られています。
ここは再度フライス処理させて頂きます。
キーシリンダー取り付け付けステーは
↑フレームヘッドパイプ側のストッパーに干渉して
トップブリッジが付けられません。
? ? ? と思いまして最初に頂いた写真を見直したところ
最初にお持ち込み頂いた車両のフレームでは
そもそもカットされていました。
続けてリヤ
フロントなんぞ問題になりません。
なんせΓのリンク回りは複雑過ぎます。
↑初期Γのリンク回りです。
実際にはスイングアーム下側になります。
これを新たにお持ち込み頂いたVJ21のアームで再現しないとなりません。
ノーマルのブラケットを切り取って流用している例も
ネットなどで見かけましたが、
それはそれで大変なので造り直す事にします。
↑こちらがアッパー側。
↑実はVJ21のスイングアームも二個お持ち込み頂きました。
程度が良い方を選択するという段取りでしたが、
その内の一つは写真の様にクラックが入っていたり
↓すでにピポット幅詰め加工がグラインダーで行われておりでNG
↑何度も検討として製作したブラケットです。
↑L字材もフライス加工済みです。
↑こんな感じで取り付けますが、
前方のピポットパイプ側に直接載せて溶接するわけではありません。
先程のL字材をベースにして溶接して行くわけです。
という事でまだまだアップすべき事はありますが
時間の関係で本日はこれまで。
後日また続きをアップします!!