そういえば、最近桃鉄(桃太郎電鉄)やってないなーとか考えていたら、ふと昔のことを思い出した。桃鉄最初にやったのは、PCエンジン版の頃だったのだけど、コントローラ4つ付けて友達とよく遊んでいた。その頃は牧歌的だったのだが、東大に入ってからは一変した。頭のよい?ずるがしこい?ともかくゲーム作成者の裏を欠くのがうまい人たちが沢山集まってきていた。

そう、かの有名な(?)青いカード売却スキームが発明されたからだ。桃鉄は資本主義の仕組みを勉強するには最適のゲームである。物件を買ってその資産額を増やし、配当からの利益を再投資する。子供の頃はなんで高い金を払って物件を買わねばならないのだ、と思っていたが毎年配当が入りそれで資産額が増える仕組みを身をもって(ゲームだけど)知ることにより、投資の大事さがわかる。

話を元に戻そう。青いカード売却スキームとは、どういうものか。青いカードは有名な「丸井の赤いカード」のパロディで、用は物件を分割払いで買えるカードである。何度使ってもなくならないカードだ。で、問題の売却カードは物件を1.2倍だか1.25倍かで売れるカードだ(はっきり倍率は覚えていないが)。つまり、200億円の桃太郎ランド(岡山)を10回払い(だったと思う)だと一回の支払い分20億で、20億の種銭があれば、支払ったあと、すぐに売却カードでうれば、1.2倍だと240億の実入りがある。その後一括返済すれば、丸々40億の儲けになる。

目標駅にとまって賞金を得、それで資産を増やしていくというゲーム本来の目的は忘れられひたすら売却カードの売っているカード売り場の駅を、新幹線カードや特急カード(リニアカードは割に合わない)を使って目指すというゲームになってしまった。

その後のシリーズで、売却カードは廃止される。このようなわかりやすい錬金術はなりを潜めたが、やはりある程度簡単に儲けられるやりかたは今の桃鉄にも存在するようだ(最近やっていないので詳しくはわからないけど)。

さて、本題に入ろう。

上記の青いカード売却スキームはまさに、バブルが弾けた最近の新興不動産デベロッパーのやり方そのものである。不動産ソリューション事業とかそういう感じの事業ドメインで説明されることが多い。地上げ屋に地上げさせて、土地を買い取る。でもそれは自己資金ではない。銀行の不動産担保融資だ(青いカードと同じだ)そしてビルを建てる。その後ヘッジファンドなどを介して最終購入者であるREITに渡る(ババを引かされたような感じになっていることが多い。ヘッジファンドで今回のバブル崩壊が来て塩漬けになっている場合も多い)。これが売却カードにあたる部分だ。

桃鉄からは売却カードをゲーム製作者が廃止することによって、この錬金術スキームは終わりを告げたが、不動産バブルは当局が総量規制などをすることによって崩壊することが多い。まあ、今回はアメリカのサブプライムローンバブルが弾け、リーマンブラザーズなんかをつぶしちゃったことによって起こったわけだが。

実際の世界で起きていることも、ゲームの中で起こっていることもそう差異はないということである。

今回の不況は、長引くだとか、資本主義の終わりだとか言っているやつがいるみたいだが、そんなことが起こるわけがないだろう。桃鉄が進化し続けても、抜け道を探すへヴィユーザがいるのと同じで、何度バブルが崩壊しようが、再び新しい効率のよいお金を儲ける手段を考えるやつらが出てきて、それに乗せられるお金に目がくらんだ人たちが出てくるだけだ。

バブルが崩壊して不況になったときの処方箋は今まで沢山出ている。みんな賢いからそれに学んでバブルを早期に終わらせる術を知っている。そして不況になるとかならず金融が緩和されることを知っているのだ。もうすでにお金がじゃぶじゃぶ流れつつある。賢い人はそれを知っている。そこにすでに群がりつつある。たとえば不動産。不動産デベロッパーに銀行は融資しないが、お金をもっていたり稼いでいる個人には融資している。というか積極的に融資している。

そしてどこかで、またバブルの種が芽をふいているのだ。だから悲観的になることはない。

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そうか、もう20周年になるのか。