遅ればせながら虜で候。

 

そもそも今年初めのガンズ来日におけるサポート・アクトとして出演した彼女らのパフォーマンスを見て目玉が4m飛び出すほどの衝撃を受けたわけですが、これまでよく知らなかったことをもったいなかったと思うと同時に恥ずかしくすら思ったものです。

 

BABYMETALのことを今更説明するまでもないですが、とにかくヘヴィメタル復権を目指して頑張っていると。

そもそもヘヴィメタルってやつは80年代に最盛期を迎え、90年代以降はグランジなどの台頭により下火となり、以降水面下でいいバンドはたくさん存在してはいたものの、87年デビューのガンズ・アンド・ローゼズ(もしくは89年デビューのMR.BIG)以降一般人でも名前を知っているほどにヒットしたバンドは出てこなくなります。唯一スリップノットが有名でしょうか。

 

ならば今や古臭い過去の音楽として扱われがちなヘヴィメタルというジャンルを今一度世に広めるためにはどうしたらいいか。

その答えをBABYMETALが教えてくれたわけです。

 

つまりヘヴィメタルにはもはや見向きもしなくなった一般人たちの目を向けさせるには、わかりやすくぶっ飛んだことをやらなきゃならぬ。

同業者にしか伝わらないような個性ではだめなのです。

超絶的なハイトーンヴォーカルが特徴のザ・ダークネスや過去最速のスピードメタルをやっているドラゴンフォースなんかもいい線いっている気はしますが、どうやらそれでも一般人の目を向けさせるには足りないようで。

 

BABYMETALにはそれができていた。

可愛い女の子3人がゴリゴリのメタルサウンドをバックに歌い踊っている。こりゃクレイジー。

それによりメタルを知らない一般人ですらも“まず見る”。好奇心が刺激される。

とにかくまず目を向けさせること。良い悪いはその後に判断してもらえば良し。

そして事実目を向けた一般層の多くがBABYMETALを良いと判断しファンになったため、これほど世界的に大きな存在となったのでしょう。

まあまだヘヴィメタルというジャンルそのものの一般化とまではいっていないようですが。

 

 

CDのこと書かなきゃ。

とにかく目を向けた一般層の多くがBABYMETALのファンになったというのは、つまりBABYMETALが上辺だけのインパクトで終わっているのではなく、しっかりと実力が伴っているからこそなわけで。

その辺りは前回書いた川端龍子の会場芸術の理念に共通するものがあります。

 

CDのこと書かなきゃ。

とにかく1stアルバム、2ndアルバム共に素晴らしい出来で、特に2nd『METAL RESISTANCE』。こりゃ恐れ入った。

1stにあったようなお遊び感(いい意味で)がなく、関係者全員が本気の本気で世界を取りに来てらっしゃる。

楽曲といい演奏といい構成といい、隅から隅まで髪の毛一本ほども入る余地がないくらいにスキがない、メタルの歴史に残すべき金字塔。

今後これを超えるアルバムを作れるのかと心配になるほどの完璧さ。

まさに21世紀芸術のマスターピース。

 

しかし何といってもこの『METAL RESISTANCE』を名盤たらしめているのは、SU-METALさんのヴォーカルによるところが大きいでしょう。

その全くブレない音程と上手いのに嫌味のない真っ直ぐな歌声は1stの時点で凄かったのですが、本作ではさらに進化を遂げ、その伸びやかで艶のある声が全ての曲の魅力を大幅に引き上げており、もはや完全に一人のヴォーカリストとしての個性をモノにしたと言えるでしょう。

しかもライブでは当然のようにCDを超えるレベルの歌を聴かせてくれるというのもまた凄いところ。そして涼しい顔してえげつない運動量のダンスをキレよくこなすサイドの2人もまた凄し。

 

 

やはり今ヘヴィメタル復権の鍵を握るのはBABYMETALしかいないようです。

そしてもしもBABYMETALを以てしてさえそれができないようなら、メタルは終わりなのかも知れません。