(一部、過去の投稿と被る箇所があります)
義両親と私がリビングで睨み合いをしている時に、玄関のチャイムが鳴りました。 
エントランスからだったので、家の中からインターホンで解除しないと入ってこられません。

義父がはしゃいだ声で
「この操作がわからないんだよー。どうやればいい?」
と聞いてきました。
子に目配せをし開けてもらいました。
子は義父に開け方を教えず、自分で開錠しました。

葬儀社の方達でした。担当は女性でした。
黒スーツではなく、暗い色のセーターにデニムでした。
後ろにいる二人の男性も同様でした。

奥様ですか?と聞かれ、ええまあと答えると名刺を渡されました。

もうすぐ棺が到着することと、これからの予定が告げられました。

男性が二人で納棺し、車で葬儀場に運び、19時から通夜を30分間行う。
翌日13時から告別式を行い、火葬場に向かう。
火葬場で初七日までを行い、四十九日について打ち合わせる。

担当さんが話している途中で、寝室の方から
「毛布か何かありませんか?」
という声が聞こえました。
取り出しに行こうとすると担当さんが前に立ち、場所だけ教えてくださいと言われました。

客間のクローゼットにありますと言うと、男性の見つけたと言う声が聞こえました。

毛布は夫を包むためのものでした。
湯灌はありませんでした。
もうされた後に私が遺体を見たのか、
20万円のコースには清めが無いのか、
夫の状態のせいかはわかりませんでした。

死装束を着せられることもなく、毛布に包まれた夫が棺に入れられました。

担当さんが、夫の気に入っていた服を上からかけてあげてくださいと言いました。
それが死装束でした。

夫は非常に派手好みで、ピンクや赤の洋服ばかり着ていました。
なるべく地味なものをと探しましたが、とりあえず鎖がついていたり羽がついていたり、この人LIVE観に行ってたんじゃなくて出てたのかと思うほど派手なものばかりでした。

とりあえず火葬する時に困らないよう、金物の付いたものは避け、子がこれよく着てたよというものを選び、棺の中の夫にかけました。

車まで見送るわけでもなく、玄関で手を合わせ、夫は家から出て行きました。

玄関の外まで見送り、家に入ろうとした時に隣室の玄関が目に入りました。

真っ白。
何これ?雪?
と思ったら、大量の塩がまかれていました。
スーパーで売ってるのだと1袋1キロでしょうか。
それが3袋分ぐらい。
盛り塩ではなく、袋を破ってぶちまけた感じでした。
気持ちはわかるけどね…


通夜まで少し時間があり、一旦解散し、葬儀場で集合することにしました。

その時、義父が言いました。

「借金はお義父さんが返すから、家財を売ってもいいか?」

今、そんなことよく言えるなと思いました。
通夜の前、しかも借金の全額もわかりません。

私は
「返してもらえるならどうぞ。ただし子供部屋とCD、DVD類、本棚、食器棚には手をつけないでください。私が引き取っていないものがあるので」
と条件をつけて了承しました。

ここでも、これはマズいという私のアンテナは張ったままでした。
一つでもヘタを打てば大変なことになる。

義父は
「そうか。ならそうするよ。返すからには少しでも取り戻したいからな」
と言いました。

通夜の前に損得勘定をしている。

寒気がしながら家に戻りました。